2024年のスマートフォン市場に関する市場調査会社インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の報告書によると、アップル(AAPL)は競合他社に比べて成長が鈍化していることが指摘されています。同社が導入した生成AIのアップデートも、現時点では消費者の関心を十分に引きつけるには至っていないようです。
スマートフォン市場全体の成長予測とAndroidの優位性
IDCのレポートでは、2024年のスマートフォン市場全体の出荷台数が前年比6.2%増加すると予測されています。しかし、その成長の多くは新興市場と中国におけるAndroidデバイスの普及によるものとされています。一方で、iOSデバイスの成長率は0.4%にとどまる見通しです。これは、アップルが中国、アメリカ、ヨーロッパといった主要市場で課題に直面していることに起因しています。
生成AIがアップルに与える影響
ウォール街では、iPhoneの売上上昇に対する期待が依然として高まっています。投資家の間では、生成AIの導入がアップルの需要拡大につながる可能性が注目されています。アップルは6月に生成AIソフトウェア「Apple Intelligence」を発表し、10月からその機能の一部を提供開始しました。今後数週間のうちにさらに多くの機能が追加される予定とされています。
ただし、IDCは今回のレポートの中で、生成AIは現時点で消費者のアップグレード需要を大きく刺激していないと指摘しています。同社のシニア・リサーチ・ディレクターであるナビラ・ポパル氏は、生成AIがユーザー体験を大きく変える可能性を認めつつも、消費者にとって「必須」の機能を提供しなければ市場全体を大きく動かすことは難しいとの見解を述べています。スーパーサイクルの到来にはさらなる投資が必要であるとしています。
iOSの成長の希望と2025年の見通し
アップルにとって明るい兆しもあります。IDCの報告書によれば、2025年にはiOSの成長率が前年比3.1%増となることが予測されており、同期間におけるAndroidの成長率予測である1.7%を上回る見込みです。これはアップルが今後の市場戦略次第で巻き返しを図る可能性を示唆しています。
株価の動きと市場での評価
11月27日の終値で、アップルの株価は234.93ドルとなりました。今年に入ってからの株価上昇率は22%ですが、S&P 500指数の26%増加と比べると控えめなパフォーマンスにとどまっています。
アップルは、競争の激しいスマートフォン市場において課題に直面しつつも、生成AIの可能性を模索し、2025年以降の成長を見据えた取り組みを続けています。今後の戦略がどのように市場に影響を与えるのか注目されます。