エヌビディア(NVDA)の最新の四半期決算は、売上の大幅な伸びを示しました。しかし、市場はこれに対して冷静な反応を見せ、同社株は若干の下落を記録しました。
11月22日の午前中の取引では株価が2.5%下落し、143.04ドルとなりました。21日の取引では0.5%の上昇を見せたものの、期待されたほどの新たな上昇トレンドを引き起こすには至りませんでした。
第3四半期業績の概要と市場の反応
エヌビディアの第3四半期の業績は、前年度と比較して売上をほぼ倍増させるという見事な内容でした。それにもかかわらず、アナリストの一部は、同社のガイダンスが期待値をやや下回ると判断しました。
フィリップ証券のアナリストであるイック・バン・チョン氏は、最近の株価動向を理由に、エヌビディア株の格付けを「買い」から「買い控え」に引き下げました。しかし、その一方で目標株価を155ドルから160ドルに引き上げており、業績そのものに対する期待は依然として高いことが示されています。
投資家心理と短期的な市場動向
Rational Dynamic Brands Fundのポートフォリオマネージャーであるエリック・クラーク氏は、投資家心理について次のように述べています。
「短期的な業績向上を求めるトレーダーは、数四半期にわたり期待を上回る成果が出ない場合、エクスポージャーを減らす可能性があります。一方で、長期的な視点に立つ投資家にとっては、こうした調整局面が魅力的な買いのタイミングと捉えられることも少なくありません。」
エヌビディアはこれまで、人工知能(AI)やデータセンター向けの製品で急成長を遂げてきましたが、市場では引き続きその成長の持続性が注目されています。
BlackwellチップとxAIの動向に注目
今後の焦点は、エヌビディアの次世代AIチップ「Blackwell」の展開に移ります。この新チップは同社にとって次なる成長ドライバーとなる可能性があります。
さらに、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、イーロン・マスク氏が率いるAI企業「xAI」が新たな資金調達ラウンドを完了し、500億ドルの企業価値評価で50億ドルを調達したと伝えられています。この資金の一部は、エヌビディアのAIチップ10万個の追加購入に充てられる予定であり、エヌビディアの業績にとって追い風となることが期待されます。
投資家への示唆
エヌビディアは、これまで驚異的な成長を続けてきましたが、今回の決算発表では市場のさらなる期待を上回るには至りませんでした。それでも、AI市場の拡大に伴い、同社の製品需要が今後も増加する可能性が高いと考えられます。
特に次世代チップやAI関連の需要増加は、中長期的に同社の成長を支える重要な要素になると予想されます。投資家にとっては、短期的な価格変動に一喜一憂せず、エヌビディアの強力な成長基盤を重視した投資戦略が求められると言えます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA