ピンタレスト(PINS)は、レシピ、ファッション、インテリアなど、幅広いアイデアを提供する人気のウェブサイトです。しかし、最近の同社の株価は厳しい状況にあります。10月初旬の数か月間のピークから株価は15%下落し、現在は29ドルあまりとなっています。この下落は主に、第3四半期の決算発表によるものです。同社の第4四半期ガイダンスが一部の投資家にとって期待外れだったことが要因とされています。
第4四半期ガイダンスの影響
ピンタレストの経営陣は、第4四半期の売上高を前年比16%増の11億4000万ドルと予測しています。この数字は、第3四半期の18%増という成長率をやや下回るものでした。一部の投資家はこれを成長の減速と解釈し、利益率の向上が期待よりも低い可能性を懸念しています。
ただし、同社の過去の実績を振り返ると、経営陣はしばしば控えめな予測を立て、その後に上回る結果を出しています。実際、第3四半期では以前のガイダンスを上回る成長を記録しました。ファクトセットのデータによると、ピンタレストは過去20四半期のうち18四半期で売上予測を上回っており、今後の発表でポジティブな驚きがある可能性は十分に考えられます。
広告市場の変動とピンタレストの成長
ピンタレストのガイダンスが弱含みとなった主な理由は、食品・飲料分野の広告需要が低迷していることです。この分野では一部のブランドが広告費を削減しています。しかし、これが長期的に続くわけではありません。需要が回復すれば、広告費も再び増加することが予想されます。第3四半期のその他の分野では売上成長率が20%を超えており、食品・飲料分野が回復すれば全体の成長率も上昇すると期待されます。
ピンタレストの競争力と革新性
ピンタレストの強みは、革新的な技術とサービスを積極的に導入している点にあります。同社は人工知能(AI)を活用して、ユーザーにパーソナライズされたコンテンツを提供しています。また、広告主がユーザーを直接商品ページに誘導できる「ディープリンク」機能を展開し、買い物客を購買者に転換しやすくしています。
これにより、広告主が支払う広告料金を支え、さらに多くの広告主をプラットフォームに引き込むことが可能となります。また、ユーザー1人当たりの平均売上(ARPU)の増加も重要な成長ドライバーです。アナリストの予測では、2026年までにARPUは年間9%成長し、最終的に8ドルに達すると見込まれています。
長期的な成長の見通し
ピンタレストは長期的な成長の余地が十分にあります。同社の売上高は2026年に48億ドルに達し、年間成長率15%を維持する可能性があります。また、売上の増加に比べ支出の増加が緩やかであるため、利益率の上昇も期待されています。アナリストは、2026年までに金利・税金・償却前利益(Ebitda)が毎年26%成長し、最終的には15億ドルに達すると予測しています。
株式評価と割安感
ピンタレストの企業価値は、今後12か月の予想Ebitdaの約14倍となっており、S&P 500指数のピーク時の17倍程度よりも割安です。また、同様の売上成長と高い利益率を持つ大手インターネット企業であるブッキング・ホールディングス(BKNG)やエアビーアンドビー(ABNB)よりも評価は控えめです。
ピンタレストが利益率をさらに高めれば、株式の価値が大きく上昇する可能性があります。同社の成長ポテンシャルや競争力を考慮すると、長期的な投資対象としての魅力は依然として高いと言えます。
*過去記事はこちら ピンタレスト PINS