ウォルマート(WMT)は11月19日、2024年のホリデーショッピングシーズンを控え、期待を上回る業績を発表し、投資家からの注目を集めています。同社は四半期ごとの調整後利益が1株あたり58セントと、ウォール街の予測を上回る成績を記録しました。さらに、売上高は前年同期比5.5%増の1696億ドルを達成し、ファクトセット調査のアナリスト予想(1677億ドル)を上回る結果となりました。
この勢いにより、ウォルマートは会計年度全体の業績見通しを引き上げると同時に、株価も急騰。投資家にとって注目度の高い銘柄となっています。本記事では、最新の業績概要、消費者動向、今後の見通しについて詳しく解説します。
四半期業績:市場予測を上回る成績
ウォルマートが発表した2024会計年度第3四半期の主要業績は以下の通りです:
- 調整後1株当たり利益:58セント(市場予測:53セント)
- 売上高:1696億ドル(市場予測:1677億ドル)
- 前年比売上成長率:+5.5%
CEOのダグ・マクミロン氏は、これらの結果について「勢いを維持し、好調な四半期」と表現。同社は引き続き強い需要を背景に、高所得世帯からの市場シェアを拡大し、商品カテゴリー全体で売上を伸ばしています。
業績見通しの上方修正
ウォルマートは、1月に終了する会計年度の業績見通しを次のように引き上げました:
- 純売上高成長率:前年比4.8%~5.1%増(従来予測:3.75%~4.75%)
- 調整後1株当たり利益:2.42ドル~2.47ドル(従来予測:2.35ドル~2.43ドル)
ウォール街の予測では、売上高が前年比4.6%増加し、1株当たり利益は2.45ドルとされていましたが、ウォルマートの新たな見通しはこの予測をも上回るものとなっています。
高所得層を中心とした市場シェア拡大
興味深い点は、ウォルマートが高所得層の顧客基盤を拡大していることです。これは、インフレ環境下で消費者がコストパフォーマンスの高い選択肢を求める中での現象です。同社のデジタル改革や利便性重視の取り組み(「Walmart+」などの会員制プログラム)が、こうした層からの支持を受けています。
CFOのジョン・デビッド・レイニー氏も、米国消費者の回復力に注目。彼らは引き続き価値と利便性を重視し、予算を最大限に活用する消費行動を見せています。
投資家にとっての注目ポイント:ホリデーシーズンの見通し
2024年のホリデーシーズンに向け、ウォルマートの見通しは「概ね安定した消費者」を前提としており、同社の売上高は引き続き堅調な成長が期待されています。ハロウィンや新学期のセールの成功に続き、年末商戦においても以下の商品カテゴリーが牽引役となる見込みです:
- ホームデコレーション
- 玩具
- アパレル
ジェフリーズのアナリスト、コリー・タルロウ氏は、「WMTはホリデーシーズンに向けて好位置につけている」とコメントし、目標株価を100ドルに設定しました。
株価の動向とアナリスト評価
ウォルマートの株価は、今回の発表を受けて2.99%上昇して19日の終値は86.59ドルとなり、終値の過去最高値を更新しました。
一方、シティのポール・レホーゼ氏は目標株価を98ドルとし、「買い」と評価。Telsey Advisory Groupのジョセフ・フェルドマン氏も「アウトパフォーム」と評価し、目標株価を92ドルとしました。
今後の注目点
ウォルマートは、消費者がインフレ後の環境においても同社の利便性と価値を支持し続けると考えています。特に「Walmart+」やデジタル戦略は、競争優位性を維持するための重要な要素となっています。
マクミロンCEOも「店舗改装や会員プログラムを通じた顧客との関係構築は長期的な価値を提供する」と述べ、楽観的な見方を示しました。
まとめ:ウォルマートの成長余地に注目
ウォルマートは、堅調な業績と見通しの上方修正により、ホリデーシーズンに向けてさらに魅力的な投資先となっています。インフレ環境が落ち着きつつある中で、同社がいかにして高所得層を含む幅広い顧客層を引き留めるかが今後の焦点です。
投資家にとって、ウォルマートの株式は堅実な成長が期待できる魅力的な選択肢として引き続き注目されています。ホリデーシーズンの動向を観察しながら、同社のさらなるパフォーマンスに期待が高まります。
*過去記事「ウォルマート驚異の第2四半期決算:市場予想を大幅に上回る」