サーバーメーカーとして知られるスーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)の株価が再び大幅に上昇し、S&P 500種指数を牽引しています。この動きの背景には、同社が財務報告の提出遅延問題を解決するために取った具体的な行動が、投資家の信頼感を高めていることが挙げられます。
スーパーマイクロの取り組み:監査法人変更と計画提出
11月18日、スーパーマイクロは新たな監査法人としてBDO USAを雇い、遅延している財務報告書を更新する計画をナスダックに提出しました。この計画に基づき、同社は遅延書類を最新の状態に戻すべく具体的な行動を開始しています。
米国みずほ証券のアナリストであるビジェイ・ラケッシュ氏は、「ナスダックによる承認は2~5週間以内に行われる可能性が高い」と述べています。BDO USAは、売上規模で「ビッグ4」に次ぐ第5位の会計事務所であり、スーパーマイクロにとって信頼性の高い選択といえます。
株価への影響:16%上昇後にさらに26%上昇
スーパーマイクロの株価は、18日に16%、19日に31%と大幅な上昇を記録しました。しかし、直近1か月間で約40%の下落を経験しており、2024年初頭の人工知能ブームによる急騰を考慮しても、年初来ではややマイナスの水準にあります。
特別委員会の調査結果:不正行為の証拠なし
アーンスト・アンド・ヤングが監査を辞任した理由の一部には、経営陣作成の財務諸表に関する懸念がありました。しかし、スーパーマイクロの特別委員会による調査では、「経営陣や取締役会による不正行為や不祥事の証拠は発見されなかった」とされています。この発表が投資家の安心感につながり、株価の上昇要因となったと考えられます。
未解決の課題と投資家への影響
スーパーマイクロには依然として多くの不確実性が残されています。以下が主な課題です:
- ナスダックによる提案の承認
計画が承認されなければ、上場廃止のリスクが再び浮上します。 - 遅延報告書の提出成功
新しい監査法人が期日内に財務報告を適切に提出できるかどうか。 - 規制当局の監視
今後、会計処理に関して厳しい監視が続く可能性があります。 - 顧客への影響
一連の騒動が顧客の信頼を損なうリスクも無視できません。
まとめ
スーパーマイクロの株価は、今回の監査法人変更や財務報告の計画提出によって大きく回復しましたが、まだ完全に安心できる状況にはなっていません。特にナスダックによる計画承認や遅延報告書の提出成功が今後の重要な鍵を握っています。
現在の市場状況において、スーパーマイクロはリスクとリターンの両面で注目される銘柄といえます。AI関連の需要やサーバー市場の成長を背景に、同社の将来性に期待が寄せられる一方で、慎重な姿勢で臨む必要があります。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI