アマゾン(AMZN)が、低価格商品に特化した新たなオンラインストア「Amazon Haul」を発表しました。このストアでは、主に20ドル以下、特に10ドル以下の商品を中心に販売し、25ドル以上の注文は送料無料で提供するとのことです。これは、急成長するディスカウント小売業者に対抗し、価格競争力をさらに強化する戦略の一環と見られます。
「Amazon Haul」とは?その特徴と背景
Amazon Haulは、現在モバイルアプリとモバイルウェブサイトを通じて利用可能な新しいショッピングプラットフォームです。販売されている商品はブランドのないものが多く、価格帯は非常に手頃。例えば、2.99ドルのスマホケースやヘアブラシ、14.99ドルのノースリーブドレスなどが含まれます。
「素晴らしい商品を低価格で提供することは非常に重要です」と、アマゾンのワールドワイド・セリングパートナー・サービス担当副社長であるダーマッシュ・メータ氏は述べています。同氏によると、この取り組みは「始まったばかり」であり、今後もお客様の声を反映しながら改良と拡大を続けるとしています。
新ストアの立ち上げは、特にSheinやTemuなど、低価格商品で急成長している中国発のeコマースプラットフォームに対抗する動きと見られます。Sheinは低価格のアパレル、Temuは掘り出し物を探す消費者に向けた幅広い商品展開で、それぞれ多くの顧客を魅了しています。
物流と課題:低価格戦略に潜むリスク
Amazon Haulの商品は、中国の倉庫から米国の顧客に発送される予定です。同社によれば、注文品は1~2週間以内に到着する可能性があるとのこと。ただし、こうした輸入商品をめぐる環境は複雑です。9月にはバイデン政権が中国から輸入される低価格商品の取り締まり強化を発表しており、これが価格競争力に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、ドナルド・トランプ氏は中国からの輸入品に60%の関税を課す提案をしています。これらの動きがアマゾンの価格戦略にどのような影響を与えるか、今後の展開が注目されます。
「Amazon Haul」の狙い:低価格戦略の重要性
アマゾンは、「信じられないほど低価格」と「予算を圧迫しない」商品を強調し、新たな価値を顧客に提供することを目指しています。この戦略は、特に価格に敏感な若年層やディスカウントストアを利用する層をターゲットにしており、SheinやTemuの顧客層を取り込む狙いが明確です。
同時に、環境への影響や品質の懸念も指摘されています。SheinやTemuが超高速ファッションのビジネスモデルを採用しているように、低価格商品には倫理的な課題も伴います。アマゾンがこれらの課題にどのように対応するかが、今後の成功の鍵となるでしょう。
広告付きストリーミングサービス「Freevee」の終了と統合
さらにアマゾンは、広告付き無料ストリーミングサービス「Freevee」を終了し、そのコンテンツを「プライム・ビデオ」に統合する計画を発表しました。この動きは、顧客によりシンプルな視聴体験を提供することを目的としています。
プライム会員と非会員の両方が無料で視聴できるコンテンツは「無料視聴」として表示され、これによりアクセスがより簡単になります。アマゾンによると、プライム会員向けのサービス内容に変更はなく、引き続き豊富なコンテンツを楽しむことができるとしています。
まとめ:アマゾンの多角的な成長戦略
Amazon Haulの立ち上げとFreeveeの統合は、同社が競争力を強化し、顧客体験を向上させるための重要な一手です。低価格商品市場の競争が激化する中、アマゾンがどのようにして競合と差別化を図るのか、また中国からの輸入に関する規制への対応がどう進むのか、今後の動向が期待されます。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN