スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)は先週、監査法人アーンスト・アンド・ヤング(EY)が辞任したことを受け、新たな会計事務所の選定に「熱心に取り組んでいる」と発表しました。この取り組みは、投資家からの信頼を再構築し、ナスダック証券取引所での上場を維持するための重要な一歩です。同社は11月16日までに上場廃止を回避する必要があり、この期限内に問題を解決することが求められています。
監査法人辞任の背景
EYは、わずか半年間の監査業務の後、辞任を表明しました。その背景には、スーパーマイクロの財務諸表に対する不透明性があるとされています。同社の証券取引委員会(SEC)への提出書類によれば、EYはスーパーマイクロの財務諸表の作成に関与しない意向を示していました。また、EYは「ガバナンス、透明性、コミュニケーションの完全性」に関する懸念を理由に挙げており、同社の企業ガバナンス体制の脆弱さが浮き彫りになっています。
上場維持のためのタイムリミット
スーパーマイクロは、6月30日を期末とする会計年度の年次財務報告書をまだ発表しておらず、8月にその遅延を公表しました。この遅延発表は、インサイダー取引の疑いを指摘したショートセラー、ヒンデンブルグ・リサーチ社の報告書の翌日に行われ、同社の株価は急落しました。ナスダックはスーパーマイクロに60日間の猶予期間を与えており、その期限である11月16日までに対応が求められます。
新たな監査法人選定の難航
現在、スーパーマイクロが依頼可能な「ビッグ4」会計事務所としては、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とKPMGの2社が残されています。しかし、過去の監査実績やリスクを考慮すると、新たな会計事務所の選定は容易ではありません。『Deep Quarry』の著者オルガ・ウスヴィャツキー氏は、「大手監査法人が求める改革を実施しない限り、他の監査法人も容易に関与しないだろう」と指摘しています。
経営改革の必要性と投資家への影響
コロンビア・ビジネス・スクールのロバート・ウィレンス教授は、スーパーマイクロが企業ガバナンスの改善を約束することで、新たな監査法人の引き受けを促進できる可能性を示唆しています。特に、取締役の独立性向上などの改革が期待されます。これらの改革が行われなければ、小規模な会計事務所に依頼するしかない可能性が高く、ナスダック上場維持に不可欠な監査報告の完成が遅れるリスクを抱えています。これは、投資家からの信頼回復にも不十分です。
まとめ:スーパーマイクロの未来と投資家へのメッセージ
スーパーマイクロは、ナスダック上場維持に向けた重要な岐路に立たされており、信頼回復と企業ガバナンスの強化が急務です。同社の将来は、大手監査法人の受け入れや経営陣の対応次第であり、今後の動向が注目されます。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI