AI需要に支えられたエヌビディアとそのサプライチェーン—隠れた成長株カムテックの活躍

AI(人工知能)分野への積極的な投資を背景に、エヌビディア(NVDA)はここ5四半期でデータセンターハードウェアの売上を920億ドルにまで伸ばしました。これは、それ以前の5四半期での売上19億ドルを大きく上回るもので、同社の成長性とAI需要の高まりを象徴しています。エヌビディアは77%という高い粗利益率を誇り、売上の大部分が同社に残りますが、供給網全体にも大きな影響を与えています。

隠れたサプライヤー、カムテックの台頭

11月12日、カムテック(CAMT)というあまり知られていない企業の決算発表があり、エヌビディアの需要がどれほど他社に利益をもたらすかが明らかになりました。イスラエルを拠点とするカムテックは最新のAI製造ラインに必要な検査・測定装置を製造しており、業界では「アドバンスドパッケージング」と呼ばれるプロセスに欠かせない存在です。

2024年の初め9ヶ月間で、カムテックの売上は前年比38%増加。現在、同社の売上の約70%がアドバンスドパッケージング関連であり、その額は約2億1800万ドルにも達しています。これは数年前までゼロだったことを考えると、その成長がいかに急速であるかがわかります。さらに、次世代のアドバンスドパッケージング向けの新機種も続々と投入される予定です。

カムテックの株価は、12日午後の取引で約3.5%上昇し、2024年に入ってからの上昇率は17%に達しました。この成長は、今後のAI需要の継続性を裏付ける良い指標となっています。

カムテックの主な顧客とアドバンスドパッケージング

カムテックはエヌビディアの主要サプライヤーであるTSMC(TSM)、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジー(MU)といった企業に製品を提供しています。TSMCはエヌビディア向けのGPUチップを供給し、他のサプライヤーは高帯域幅メモリを提供。これらのチップは、アドバンスドパッケージング技術によって小型のチップを組み合わせて1つのユニットとして製造され、コスト削減とAIワークロードの高速化を可能にしています。

特に、GPUでは小型チップ(チップレット)を組み合わせることで大規模チップに比べてコストを削減し、高帯域幅メモリではチップを積み重ねることでAI処理に必要な速度を確保しています。いずれのプロセスにおいても、複雑な組み合わせが必要であり、特殊な装置や技術が求められています。

2023年春にエヌビディアのGPUに対する需要が急増した際、これらのサプライヤーはアドバンスドパッケージングのキャパシティ不足に直面しました。TSMCのリウ会長は、2023年9月に開催されたセミコン台湾の会議で、エヌビディア向けのアドバンスドパッケージング能力を3倍にする必要があると述べ、約18ヶ月を要するとしています。この間、エヌビディアはアムコー・テクノロジー(AMKR)など他のアドバンスドパッケージング供給元にも協力を求める状況となりました。

供給網の拡充とカムテックの成長

メモリメーカーもまた、エヌビディアに十分な高帯域幅メモリを供給できず、生産能力の大幅な拡大を余儀なくされました。これらすべてのエヌビディアサプライヤーは、増大する需要に応えるため、莫大な設備投資を行い、カムテックから特定の検査装置を調達しています。

2023年のエヌビディアGPU需要の爆発を受けて、カムテックは多くの受注を発表し、2024年にはそれらの注文が出荷に移行。2024年初の9ヶ月間で、カムテックの1株当たり利益(EPS)は1.75ドルに達し、前年比46%増加。第3四半期のEPSも前年比46%増、売上は40%増と好調を維持しています。

また、TSMCとアムコー・テクノロジーはアリゾナ州に新たなアドバンスドパッケージング施設の建設を発表しており、今後もカムテックの需要は2025年まで続く見通しです。12日の決算発表は、AI機器およびサービスに対する強い需要の証明ともなり、投資家にとって好材料です。

まとめ

AI分野でのエヌビディアの拡大が、サプライチェーン全体に影響を及ぼし、関連企業にも利益をもたらしている現状は注目に値します。特に、カムテックのような隠れた成長株は、AI産業の需要拡大の恩恵を享受しつつあります。今後も、AI技術の発展とともに、これらのサプライヤーの成長が続くと期待されており、投資家にとって魅力的な市場が広がっています。

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