トレードデスク（TTD）の株価は、堅調な第3四半期の決算報告にもかかわらず、投資家の期待に応えきれずに11月8日の米国市場で5.58%の下落を記録しました。本記事では、トレードデスクの最新の決算内容を詳しく掘り下げ、今後の展望についても解説します。
トレードデスクの第3四半期決算：堅調な売上と期待を上回る成長
トレードデスクは第3四半期の売上で27%の増加を達成し、6億2800万ドルという結果を発表しました。この数値はアナリストの予想（6億1990万ドル）を上回り、市場の期待に応えるものでした。特に、同社のKokai AIプラットフォームのアップグレードなど、戦略的な投資が大きな成果を挙げたと評価されています。
さらに、GAAP（一般に公正妥当と認められた会計原則）に基づく営業利益は、前年同期比で約3倍の1億850万ドルに達し、収益性の向上が顕著です。調整後の1株当たり利益も0.33ドルから0.41ドルに増加し、コンセンサス予想の0.39ドルを上回る結果となりました。
顧客維持率とUnified ID 2.0の拡大が成長を後押し
トレードデスクは、10年連続で95%以上の顧客維持率を達成しており、その顧客基盤の安定性が強みとなっています。特に、Unified ID 2.0プロトコルの適用範囲が拡大しており、ロク（ROKU）やスポティファイ（SPOT）との提携により、この識別技術の利用が拡大しています。これにより、今後も一層の成長が期待される状況です。
第4四半期の見通しとCEOのコメント
CEOのジェフ・グリーン氏は第4四半期について「1兆ドル規模の広告市場において、より大きなシェアを獲得できる好機」とコメントし、今後の成長に対する強い自信を示しました。同社は、第4四半期の売上を7億5600万ドル以上と予測しており、前年同期比で少なくとも25%の成長を見込んでいます。
また、同社は、金利・税金・減価償却・償却前の調整後利益（EBITDA）として約3億6300万ドルを見込み、利益率が50%近くに達すると予想しています。
株価が下落した理由：高PERが示すリスクと今後の期待
トレードデスクの株価収益率（PER）は200倍前後で取引されており、非常に高い評価を受けています。この高PERは、急速な成長期待が織り込まれた結果ですが、決算内容が期待を上回らなかったため、株価は下落に転じました。
それにもかかわらず、トレードデスクは長期的な成長に向けて強固なポジションを築いています。Kokai AIやUnified ID 2.0といったテクノロジーの進化により、広告市場での競争力を強化しており、今後も成長が見込まれます。
まとめ：トレードデスクの長期的成長に対する展望
トレードデスクは、第3四半期の決算報告で安定した売上成長を達成し、顧客維持率の高さと新技術の導入で成長を支えています。現在の株価の調整は高評価からくるリスクも含まれていますが、長期的な成長基盤は堅実であり、投資家にとっても注目すべき企業と言えます。
今後もトレードデスクの成長戦略がどのように広告市場でのシェアを拡大するのか、引き続き注目していく価値があります。
＊過去記事はこちら トレードデスク TTD