エヌビディアがウォール街をリードしてもダウ平均で影響力が小さい理由とは?

エヌビディア(NVDA)は、AIブームの波に乗り、ウォール街で最大の企業として君臨しています。2024年11月8日からは、ダウ平均株価指数(DJIA)に正式に加えられ、ダウ構成銘柄の一員となりました。その時価総額は3兆6100億ドルに達し、AI関連企業として最前線に立っています。

しかし、エヌビディアの驚異的な時価総額は、S&P 500やナスダックをリードしていますが、ダウ平均ではその存在感が控えめです。その背景には、ダウ平均が株価加重平均型指数であるという特性が大きく関係しています。これは、各銘柄の時価総額ではなく、株価そのものが指数に与える影響を決定するためで、株価が高い企業ほどダウ平均に与える影響が大きくなります。

株価加重平均型指数が生む影響力の差

ダウ平均は、構成銘柄の株価によって指数の変動が決まるため、各銘柄の時価総額は考慮されません。その結果、エヌビディアの株価はダウ構成銘柄全体の平均を38%も下回る位置にあり、影響力も下位の22位にランクされています。一方で、新たにダウに採用されたシャーウィン・ウィリアムズ (SHW) は、時価総額が約976億ドルとエヌビディアの3分の1以下ですが、ダウ平均への影響力は約3倍に達しています。

ダウ平均の変動に対する影響度の計算方法と「ダウ係数」

ダウ平均における各銘柄の影響力は「ダウ係数」に基づき算出されます。ダウ係数は、ダウ全体の株価変動を指数に反映させるための重要な基準です。最近のインテル(INTC)とダウ(DOW)の入れ替えにより、ダウの分母が0.15265312230608から0.16268413125742に増加し、構成銘柄ごとの影響度は低下しました。この変化により、各銘柄がダウ平均に与える影響が小さくなりました。これにより、1ドルの株価変動がダウ平均に与える影響は、以前の6.55ポイントから6.15ポイントに変わりました。

例えば、エヌビディアの株価が1%変動すると約1.47ドルの価格変動に相当し、ダウ平均を約9ポイント動かします。対照的に、シャーウィン・ウィリアムズの株価が1%変動した場合には、3.89ドルの変動でダウ平均に24ポイントの影響を及ぼします。このように、時価総額ではエヌビディアが圧倒的な存在感を誇る一方で、ダウ平均への影響力はシャーウィン・ウィリアムズに遠く及びません。

ダウ平均とS&P 500の上昇率比較

2024年のS&P 500は25.6%上昇していますが、ダウ平均の上昇率は16.9%と控えめです。これは、ダウ平均が株価の高い企業に強く影響される特性を持ち、成長著しいテクノロジー企業の影響が相対的に小さかったためです。もしエヌビディアとシャーウィン・ウィリアムズが年初からダウ平均の構成銘柄であった場合、ダウ平均の上昇率はおよそ20%に達したと仮定できます。この差は、株価加重平均型指数の構成が影響力の違いを生む一因であることを示しています。

まとめ: エヌビディアの影響力の位置付けとダウ平均の特徴

エヌビディアのダウ平均における影響力は、時価総額の大きさに見合わない小さなものにとどまっています。この現象は、ダウ平均が「株価加重平均型指数」であることに起因しており、構成銘柄の時価総額ではなく株価が指数に与える影響を決定するためです。

つまり、株価が高い企業ほどダウ平均に大きな影響を与えることになりますが、時価総額の大きさは考慮されません。これにより、株価が低めのエヌビディアは、たとえ時価総額が大きくてもダウ平均に対する影響が小さくなってしまうのです。今後、エヌビディアの成長が続き株価が上昇すれば、ダウ平均における影響力も増す可能性がありますが、現時点ではその影響力は限られています。

ウォール街のトップ企業としてのエヌビディアの成長を見守りつつ、株価加重平均型指数であるダウ平均の特徴を理解することが、投資家にとって重要な知識となります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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