アームの最新決算発表で注目!成長を支えるArmv9技術とは?

  • 2024年11月7日
  • 2024年11月7日
  • BS余話

チップ設計の大手、アーム・ホールディングス(ARM)は、11月6日の市場終了後に2024年9月期決算を発表しました。調整後の1株当たり利益は30セントとなり、ウォール街の予想である26セントを上回り、売上高も8億4400万ドルとアナリスト予想の8億1000万ドルを上回りました。予想を上回る業績でしたが株価上昇には不十分だったようです。発表後の時間外取引で株価は5%下落しています。

アームの成長見通しと業績予測

アーム・ホールディングスは今期の売上高予測を9億2000万ドル〜9億7000万ドルとし、アナリスト予想の9億3900万ドルを上回る見込みです。これは、AIやクラウド分野での需要増がアームの売上に好影響を与えているためです。

アームのCEOであるレネ・ハース氏も「高性能Armv9およびCSSコンピューティングプラットフォームへの需要は予想を超えており、特にAI処理能力の強化を求めるクラウドサービスや、低遅延を必要とするエッジコンピューティングの分野での需要が増加しており、クラウドからエッジまで新たな成長機会が広がっている」と述べています。特にAIの活用が進む中で、アームの技術はクラウドやエッジコンピューティングの重要な要素となっています。

売上拡大の源:高ロイヤリティ率のArmv9技術

アームは、スマートフォンメーカーや半導体企業にチップ設計のライセンスを提供しており、売上の多くをロイヤルティから得ています。特に、最新のArmv9チップ設計技術は従来のArmv8に比べて2倍のロイヤルティ率を実現しており、これが可能となった背景には、Armv9がより高いパフォーマンス効率やセキュリティ強化を提供していることが挙げられます。

これにより、より多くの顧客が最新技術に価値を見出し、ライセンス料の引き上げが受け入れられています。この技術革新が売上拡大に寄与しています。また、クラウドサーバー向けのハイエンドプロセッサ市場にも進出しており、マイクロソフト(MSFT)やエヌビディア (NVDA)などがアームの設計を使用して高性能なサーバーチップを製造しています。

クアルコムとの法的争いと影響

一方で、アームはクアルコム(QCOM)と法的な争いを抱えています。クアルコムは2021年に新興企業のヌビアを買収しましたが、アームはこの買収が同社とのライセンス契約に違反するとして訴訟を起こしています。具体的には、アームのライセンスを受けた設計技術が、クアルコムによるヌビアの買収後に不正に利用される可能性があると主張しています。この訴訟は12月中旬に予定されており、その結果次第では両社の協力関係や市場に影響が及ぶ可能性があります。

投資家の注目ポイント:アームの成長性とリスク

今年、アームの株価は93%上昇しています。この株価上昇は、AI技術やクラウドコンピューティングへの需要増加により、アームの設計技術の価値が高まっていることが主な要因です。また、Armv9技術の高いロイヤルティ率と、クラウドサーバー向けプロセッサ市場での成功も寄与しています。

今回の業績発表を受けて、投資家は利益確定に動いた可能性もありますが、今後もAIやクラウド分野の成長が期待される中で、アームの株価は依然として注目の的です。

アーム・ホールディングスは、技術革新と市場の需要に支えられた成長が期待されていますが、クアルコムとの法的な問題や競争環境もリスク要因です。今後の市場動向に注視し、戦略的に投資を検討することが重要です。

*過去記事「アーム vs クアルコム:PC市場を揺るがす知的財産戦争の行方

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