スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)は、11月5日に予定されている決算報告を前に、ナスダック証券取引所での上場廃止リスクが注目されています。同社は6月30日締めの会計年度に関する10-K報告書の提出が遅延しており、11月16日までに上場規則への準拠を回復するための計画をナスダックに提出する必要があります。
アナリストの懸念と株価の下落
ウェドブッシュのアナリスト、マット・ブライソン氏は、同社の目標株価を従来の62ドルから32ドルに引き下げましたが、評価は「中立」を維持しています。ブライソン氏は「SMCIが現在の状況で上場を維持するのは困難である」と指摘しており、投資家の不安が広がっています。
8月以降の問題の連鎖
スーパーマイクロはここ数か月、空売り投資会社ヒンデンブルグ・リサーチの報告書が発端となり、問題が相次ぎました。8月27日に発表された調査報告書では、「会計上の重大な問題、未公開の関連当事者取引、制裁措置、輸出管理の不履行、顧客の問題」について指摘されました。これに対し、スーパーマイクロは「虚偽または不正確な記述が含まれている」として反論しています。
財務報告の遅延とナスダックの警告
ヒンデンブルグの報告書発表後、スーパーマイクロは6月30日締めの会計年度10-K報告書の提出が遅延することを公表し、9月20日にはナスダックから「SEC(米国証券取引委員会)への報告書の適時提出義務に違反している」との警告を受けました。この遅延は、上場廃止のリスクを高める要因となっており、投資家の懸念が一段と強まっています。
EYの辞任と財務健全性への疑念
10月30日には、同社の監査を担当していたアーンスト・アンド・ヤング(EY)が辞任しました。EYは「経営陣が作成した財務諸表には関与しない」と明言し、市場に衝撃を与えました。スーパーマイクロはEYの決定に同意しないとしていますが、監査法人の辞任は同社の財務健全性に重大な疑念を投げかけています。
ブライソン氏もこの件に触れ、「EYの辞任、10-K提出能力の遅延、報道されている司法省による調査は、SMCIの財務状況や将来のガイダンスよりも大きな影響を与える可能性がある」と述べています。
株価への影響と市場の反応
スーパーマイクロの株価は、10月29日の取引終了時から約46%下落し、年初来の下落率は8.4%に達しています。これは2018年以来最も悪い年間成績を示しており、財務問題が投資家の信頼に深刻な影響を与えていることが明らかです。
今後の展望
スーパー・マイクロ・コンピュータは、11月16日までにナスダック規則への準拠計画を提出する必要があり、その対応が上場維持にどのような影響を与えるかが注目されています。財務報告の遅延、監査法人の辞任、さらに司法省の調査など、不透明な要素が多い状況で、投資家は慎重な対応を求められています。
同社の今後の対応次第では、株価や上場ステータスの動向がさらに注目されるでしょう。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI