10月31日に発表されたアップル(AAPL)の12月期の業績見通しは、ウォール街の投資家の期待を下回る内容となりました。財務最高責任者(CFO)のルカ・マエストリ氏は「前年同期比で1桁台前半から半ばの売上成長が見込まれる」とコメントし、発表翌日の11月1日の市場でアップル株価は1.33%下落し、終値は222.91ドルでした。
「Apple Intelligence」によるiPhoneアップグレードの期待
アップルがWWDC(Worldwide Developers Conference)で発表したAIソフトウェア「Apple Intelligence」により、今後のiPhoneアップグレード需要への期待が高まっています。しかし、このソフトウェアは最新モデルのみで利用可能で、10月28日までは全機能が提供されていませんでした。さらに、米国英語以外の言語には対応していないという制約もあります。このため、「AI主導のスーパーサイクル」の実現に関して、ウォール街には不安が広がっています。
アナリストの見解:成長見通しの評価
市場の専門家の意見は分かれています。Maxim Groupのトム・フォルテ氏は「もしアップグレードのスーパーサイクルが始まるとしても、そのスタートは非常に緩やかだ」とし、アップル株を「ホールド」と評価し、目標株価を215ドルと設定しています。一方、オッペンハイマーのマーティン・ヤン氏は「Apple Intelligenceが2025年のiPhone買い替え需要を押し上げる」と予測し、目標株価を250ドルに設定しています。
iPhoneスーパーサイクルの可能性とリスク
9月に発売されたiPhone 16はAIソフトウェアなしで市場に投入されましたが、今後のモデルにはApple Intelligenceが搭載され、アップグレード需要が高まる可能性があります。モーニングスターのウィリアム・カーウィン氏は「Apple Intelligenceにより売上成長が1桁台半ばに回復する」と予測し、その影響が今後2年間にわたって徐々に現れると見ています。
投資家への提言:考慮すべきポイント
アップルのiPhoneアップグレードサイクルとAI導入の進展は、多くの投資家にとって重要な関心事項です。しかし、現時点では不確実性が多く、投資家は将来のアップグレード需要を見越して「待つか否か」の判断を迫られています。アップル株の保有を検討する際には以下のポイントに注目するべきです。
- AI導入の進展:Apple Intelligenceの全機能提供がどのように進むか。
- 成長のスピード:CFOの発言から、今後の売上成長は緩やかなものと予測されています。
- アップグレード需要:iPhoneのスーパーサイクルが本格化するかどうかに注目が集まっています。
まとめ
AIソフトウェア「Apple Intelligence」は、iPhoneの将来的な成長に貢献する可能性がありますが、その効果が全面的に現れるには時間がかかる見通しです。ウォール街の評価はまちまちで、不確実性が多い状況ですので、リスクとリターンを考慮した慎重な判断が求められます。
*過去記事はこちら アップル AAPL