マイクロソフト(MSFT)は、2024年度第1四半期の決算を発表し、ウォール街の予想を上回る結果を示しました。売上は656億ドル、1株当たり利益は3.30ドルと、アナリスト予想(売上645.7億ドル、1株当たり利益3.10ドル)を上回る業績となりました。しかし、AI関連の費用増加が今後の見通しに影響する可能性が示唆され、株価は時間外取引で4%あまり下落しました。
前年同期のマイクロソフトの売上は、売上高が565億ドル、1株当たり利益が2.99ドルでしたが、今回の四半期では増収増益となりました。特にクラウド部門において、Azureと他のクラウドサービスの売上が33%の成長を遂げ、アナリスト予測の28.6%増を上回る結果となりました。これにより、クラウドとAIへの依存が強まる中、マイクロソフトの成長基盤がさらに強化されたと言えます。
Investing.comの上級アナリスト、トーマス・モンテイロ氏も、「マイクロソフトの売上は、AIとクラウドの成長が全般的に大幅であったという幅広い認識を確固たるものとし、今後もよりポジティブな報告が市場を牽引し続けるだろう」と述べています。
AIインフラへの投資と資本支出の増加
この四半期におけるマイクロソフトの資本支出は149億2000万ドルで、ウォール街の予測である147億4000万ドルをわずかに上回りました。この支出は前年同期の99億ドルから大幅に増加しており、AIとクラウドインフラの拡充が主な要因とされています。サティア・ナデラCEOも、「当社はAIプラットフォームとツールを適用して新たな成長と事業拡大を実現している」と語り、AIを活用した新たなビジネスチャンスの開拓に自信を見せました。
投資家への影響:クラウド粗利益率の低下見通し
一方で、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は、第2四半期のクラウド粗利益率が前年より低下すると予想していると述べました。これは、AIインフラの拡張に伴うコスト増が影響しており、クラウドとAI需要に応えるための資本支出はさらに増加する見込みです。この発表を受け、投資家はAI関連の大規模投資が将来的な利益にどう寄与するかを慎重に見極める姿勢を見せています。
株価の動向と今後の展望
決算発表の後、マイクロソフトの株価は一時上昇しましたが、その後、資本支出の増加に対する懸念から時間外取引で4%あまり下落しました。マイクロソフトの株価は、7月の過去最高値から7.6%下落しており、今後の市場動向が注目されます。同社の株価収益率(PER)は31倍で、過去5年間の平均である29.4倍を上回っているため、株価が割高であるとの見方もあります。
まとめ
今回のマイクロソフトの第1四半期決算は、AIとクラウドの成長が同社の収益基盤を確固たるものにしていることを改めて示しましたが、一方でAIインフラに対する投資が利益率に与える影響も明らかになりました。今後、クラウドとAIの需要が拡大する中、マイクロソフトの成長と投資のバランスがどのように変化していくかが注目されます。
投資家にとっては、AI関連の支出がどれだけのリターンをもたらすかが大きな関心事であり、マイクロソフトの今後の決算報告も市場に対して引き続き重要な影響を与えることが予想されます。
*過去記事 マイクロソフト MSFT