IBM(IBM)は10月23日に第3四半期の決算を発表し、市場の期待を上回る調整後の1株当たり利益を記録しましたが、売上がわずかに予想に届かず、時間外取引で株価が下落しました。同社は人工知能(AI)分野での取り組みに注力しており、投資家はその進展を注視しています。以下、IBMの最新業績について詳しく解説します。
調整後EPSは予想を上回るも、売上は期待未達
IBMの第3四半期決算では、ウォール街の予想2.22ドルを上回る調整後の1株当たり利益2.30ドルを報告しました。これは前年同期比で5%の増加を示しており、利益面では健全な成長を見せています。しかし、総売上は150億ドルで、アナリスト予想の151億ドルをわずかに下回りました。前年同期比で1%の成長を遂げたものの、同社が目指す中程度の1桁台の成長には届いていません。
AIへの期待と課題
IBMはAIへの積極的な取り組みで知られていますが、今回の業績報告はその進展が依然として時間を要することを示唆しています。CEOのアルヴィンド・クリシュナ氏は、IBMのAIモデルについて「信頼され、目的に適合し、コスト効率が良く、パフォーマンスにおいてもリーダーシップを発揮している」と自信を示しました。しかし、投資家は即効性を期待していたため、株価は決算発表後の時間外取引で3%下落しました。
ソフトウェア部門が売上をけん引
第3四半期で特に注目されたのは、IBMのソフトウェア部門の成長です。この部門は前年比で10%増加し、売上全体を支える重要な要素となりました。最高財務責任者(CFO)のジム・カバノフ氏も、「ソフトウェア部門は非常に好調で、広範囲にわたる成長を遂げた」と評価しています。ソフトウェア事業は比較的高い利益率を持ち、IBMの売上成長を強力に支えています。
フリーキャッシュフローと今後の見通し
投資家が注目している指標の一つに、フリーキャッシュフローの成長があります。IBMのフリーキャッシュフローは前年から23%増加し、年初来で29%の成長を記録しました。この成長は、配当金の増加を支える重要な要素として期待されています。
また、IBMは第4四半期の売上成長率を1%〜2%と見込んでおり、2024年にはフリーキャッシュフローが少なくとも7%増加するとの予測を立てています。
まとめ:IBM株の今後の見通し
IBMの株価は、今年に入って70%以上上昇していますが、今回の決算発表後の時間外取引で3%の下落を見せました。同社のソフトウェア部門が引き続き好調である一方、AIへの取り組みは投資家の期待を完全に満たしていないようです。しかし、フリーキャッシュフローの堅調な成長や、AI分野での長期的な展望は依然として期待されており、今後もIBMは注目の銘柄であり続けると思われます。
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