10月22日にフロリダ州オーランドで開催された市場調査およびコンサルティング会社ガートナーのITシンポジウム/エキスポイベントにおいて、エヌビディア（NVDA）の最高経営責任者（CEO）ジェンスン・フアン氏が数千人のビジネステクノロジーリーダーに向けて講演を行いました。同氏は、各企業がAI（人工知能）を積極的に活用する組織になるべきだと強調し、それが「新たな産業革命」の一環であると述べました。
エヌビディアのAI戦略
エヌビディアは、AIを活用することが企業にとって不可欠であるとしています。同社はカリフォルニア州サンタクララに拠点を置き、チップ設計、ソフトウェア開発、サプライチェーン管理など、さまざまな分野でAIを積極的に導入しています。フアン氏は、これらの取り組みにより、エヌビディアは業務効率の大幅な向上を達成していると説明しました。
特に、フアン氏が注目するのは、CIO（最高情報責任者）が自社内の効果的な業務を見極め、AIを導入することで、その業務プロセスをどのように改善できるかを考える必要がある点です。同氏は、AI導入が最も影響力のある業務に焦点を当てることで、最大の効果を発揮すると述べました。
「AIの脳」とは？
さらに、エヌビディアは「AI脳（AI brain）」を開発することに注力しています。これは、企業が自社のビジネスプロセスや顧客とのやり取りに関する知識をAIに引き渡し、AIがそれを処理して最適な提案や行動を提供する仕組みです。最終的には、企業のリーダーであるCIOやCEOがAIに話しかけるだけで業務が進む未来を目指しています。
フアン氏は、「エヌビディアはすでにプライベートデータのAI化を進めており、すべての企業がこの方向に進むべきだ」と主張しています。
PDFなどの非構造化データへの対応
フアン氏は、AIの進化に伴い、エヌビディアが新たなツールを発表することを明らかにしました。それは、AIが理解しやすいPDFファイルを作成するツールです。従来、PDFや電子メールなどの非構造化データはAIにとって扱いにくいものでしたが、この新しいツールにより、そのハードルが大きく下がることになります。
AIエージェントとデジタルワーカーの未来
エヌビディアは、AIエージェントが営業、マーケティング、エンジニアリング、サプライチェーンなどの業務において、人間の同僚と共に働く未来を見据えています。ビジネステクノロジーのリーダーは、AIに指示する方法を学び、業務にAIを活用するスキルを身につける必要があります。
また、エヌビディアはSAP（SAP）やサービスナウ（NOW）と協力し、これらのAIエージェントをシステムに組み込む取り組みも進行中です。さらに、アクセンチュア（ACN）と共同で、プライベートデータセンター向けのAIエージェントプラットフォームを構築しています。
AIがもたらす業務効率の向上
現在、エヌビディアはAIを活用して、チップ設計やソフトウェア開発を進めています。フアン氏は、これらのAIは「AIチップの設計者」であり、「AIソフトウェアエンジニア」として機能していると説明しました。同氏は、AIが将来的にエヌビディアの従業員と同等の能力を発揮する可能性については慎重な姿勢を示しながらも、その限界を試し続ける姿勢を強調しました。
まとめ
エヌビディアのジェンスン・フアン氏は、AIがこれからの企業運営において不可欠な要素になることを強調しています。企業がこの「新たな産業革命」に対応するためには、AIを積極的に活用し、業務効率を高める取り組みを進める必要があります。AI技術は今後、ますます進化し、ビジネスのあらゆる分野において大きな変革をもたらすと予想されます。
エヌビディアのチップとAI技術は、すでにクラウドプラットフォームやデータセンターで広く利用されており、加速するコンピューティングとともに、AIがビジネスの未来を切り開く鍵となることは間違いありません。
＊過去記事はこちら エヌビディアNVDA