先週の米国株式市場では、低迷していた半導体株に対する押し目買いが活発化し、エヌビディア(NVDA)が再び注目を集め、過去最高値を更新しました。特に、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)の強気な業績見通しが市場に好影響を与え、AIブームに対する投資家の信頼感が回復したことが背景にあります。これにより、ASMLホールディング(ASML)に対する低迷予測や一部中東諸国への輸出制限に対する懸念が払拭され、ウォール街では再びAI関連株への熱気が高まっています。
エヌビディア、過去最高値を更新
エヌビディアの株価は週末に138ドルを超え、時価総額は3兆3900億ドルに到達。現在、同社はアップル(AAPL)に次ぐ世界第2位の企業となっていますが、さらに成長する余地があると予測されています。専門家は、エヌビディアが4兆ドルの時価総額に達する初のテック企業になる可能性が高いと見ています。
Lumida Wealth ManagementのCEO、ラム・アルワリア氏は「GPUチップに対する需要は非常に強く、初期導入者がすでに高いROI(投資利益率)を享受している」と指摘。エヌビディアのCEO、ジェンスン・フアン氏も、新型「Blackwell」GPUへの需要を「異常なレベル」と表現し、この発言が株価上昇を一段と加速させました。
エヌビディアの成長を過小評価するな
T. Rowe Priceのポートフォリオマネージャー、トニー・ワン氏は、投資家がエヌビディアの成長潜在力を依然として過小評価していると強調。AIチップに対する「異常な」需要が続く限り、エヌビディアが4兆ドルの評価額に到達するのは時間の問題だと述べています。
今後数週間で、「マグニフィセント・セブン」企業の決算が、エヌビディアの市場支配力に関するさらなる洞察をもたらすでしょう。エヌビディアの売上の40%以上を占めるメタ・プラットフォームズ(META)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)も引き続きAI投資を拡大していく方針です。
ビッグテック企業の支出がAIブームを後押し
前四半期、メタ、アルファベット、マイクロソフトの合計支出は400億ドルを超え、アマゾンも年後半における支出が前半期の300億ドルを上回ると予測しています。これによりAI関連の成長が加速し、エヌビディアをはじめとするチップメーカーの売上増に寄与しています。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリスト、ヴィヴェク・アーヤ氏は、エヌビディアを「世代を超えた投資機会」として位置付けています。アーヤ氏は、ハイパースケーラー企業による大規模な設備投資がエヌビディアの市場シェア拡大を後押ししていると分析し、目標株価を190ドルに引き上げました。これは現在の株価から約40%の上昇を見込んでいます。
TSMCの強気予測も好材料
アーヤ氏のチームは、TSMCの堅調な需要見通しも市場にとって追い風になると考えています。TSMCはエヌビディアやアップルの主要サプライヤーであり、第3四半期の純利益は50%以上の増加が見込まれています。通年の売上成長率も30%に達すると予測されており、これが業界全体の株価上昇をさらに後押ししています。
エヌビディアの今後に注目
ビッグテック企業の第3四半期決算報告は、エヌビディアの短期的な株価動向に大きな影響を与えるでしょう。もしAI投資に関して期待外れの結果が出た場合、エヌビディアやチップ市場全体が一時的に低迷する可能性があります。しかし、長期的な見通しは依然として楽観的です。
ナイルズ・インベストメント・マネジメントの創業者、ダン・ナイルズ氏は、AI分野への投資が飽和状態に達するまでには数年を要するとし、エヌビディアの売上と株価が今後数年で倍増する可能性が高いと予測しています。実際、エヌビディアの株価は10月に入り21%上昇し、年初来では179%の上昇を記録しています。
エヌビディアへの投資においては、今後の押し目を逃さないことが重要です。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA