アップル(AAPL)やGoogleの親会社であるアルファベット(GOOGL)は、2024年のS&P 500種指数(SPX)を上回るパフォーマンスを記録した、ある投資ファンドの主力銘柄です。特に注目すべき点は、それらの銘柄選定が人工知能(AI)を活用したモデルによって行われていることです。AIを活用した投資手法は、これまでの人間による判断とは異なる独自のアプローチで市場を攻略しています。今回は、AIを駆使した韓国のフィンテック企業Qraft TechnologiesのETF(上場投資信託)を中心に、テクノロジー銘柄への強気姿勢を維持するその戦略を深掘りしてみましょう。
AIが支える投資戦略:Qraft TechnologiesのETF
ソフトバンクが出資するQraft Technologiesは、AIを活用した3つのETFで約5000万ドルの資産を運用しています。中でも、「Qraft AI Enhanced U.S. Large Cap Momentum ETF(ティッカー:AMOM)」は、テクノロジー企業への強気な姿勢を示しており、保有銘柄の50%がテクノロジー関連企業です。エヌビディア(NVDA)とアップル(AAPL)が最大のポジションを占めており、2024年10月にはアップルの保有比率を6.6%から9%に引き上げています。
さらに、アマゾン(AMZN)、テスラ(TSLA)、マイクロソフト(MSFT)、イーライリリー(LLY)、ブロードコム(AVGO)など、勢いのある大型銘柄への投資も強化されており、AIを用いたモメンタム投資戦略の一環としてこれらの銘柄が選定されています。
モメンタム投資とAIの連携
AIを使った投資戦略の最大の強みは、膨大なデータを感情に左右されずに分析できる点です。特にAMOMのETFでは、毎月AIモデルを使用して米国の大型株50銘柄が選定され、リバランスが行われます。モメンタム投資とは、最近のパフォーマンスが好調な銘柄にフォーカスし、今後もその勢いが続くことを期待する手法です。
AMOMの今年のリターンは33%で、S&P 500の24%を上回っており、AIモデルの有効性が示されています。一方で、S&Pモメンタム指数は44%の上昇を記録しており、AIの判断が常に最適とは言えないことも分かります。例えば、AIがテスラ(TSLA)のロボットタクシーイベントに期待し、テスラ株への投資を増やしましたが、その後の株価はイベント後に8.8%下落しました。
他のETFとの比較:QRFTの戦略
Qraft Technologiesのもう一つのETF、「Qraft AI-Enhanced U.S. Large Cap ETF(ティッカー:QRFT)」は、モメンタム銘柄を狙うAMOMとは異なり、より防御的なポートフォリオを構成しています。QRFTは、生活必需品やヘルスケアセクターへの重点を置いており、アップル(AAPL)、アルファベット(GOOGL)、ウォルマート(WMT)、イーライリリー(LLY)などの銘柄を保有しています。これに対し、エヌビディア(NVDA)へのエクスポージャーはゼロのままです。
QRFTは、350銘柄の多様なポートフォリオを保有しており、モメンタム投資だけでなく、多因子モデルを用いた分散投資を行っています。これにより、特定セクターへの依存を避け、リスクを分散する戦略が取られています。
AIと人間の判断の違い
Qraft Technologiesのフランシス・オ氏は、AIが感情に左右されない投資判断を下す点を強調しています。人間は過去の決定に固執する傾向があり、その結果として投資判断が歪むことが少なくありません。これに対し、AIは膨大なデータをもとに客観的に市場を分析し、感情に流されることなく投資判断を下します。
AIを使ったETFは、ポートフォリオの多様化に役立つツールであり、そのパフォーマンスは注目に値します。特に、AMOMのようなAI強化型ETFは、テクノロジー銘柄を中心にリスクとリターンを追求し、未来の投資戦略に新たな道を切り開いているのです。
まとめ
アップル(AAPL)やアルファベット(GOOGL)を中心に構成されるAI強化型ETFは、今後も投資家にとって注目すべき選択肢です。AIを活用することで、従来の投資手法にない精度とスピードで市場の変動に対応できる可能性があります。特に、テクノロジー銘柄への強気な姿勢を持つAMOMや、より防御的なポートフォリオを提供するQRFTのようなETFは、多様な投資家ニーズに応えるツールとして進化し続けています。