10月15日の米国市場でエヌビディア(NVDA)の株価が5%下落しました。この下落は、オランダの半導体製造装置メーカーであるASMLホールディングス(ASML)の決算が予定よりも1日早くリークされたことに起因します。
本来、ASMLの決算発表は16日に予定されていましたが、同社のウェブサイトに一時的に掲載されてしまい、その後すぐに削除されました。この予想外の情報に投資家が反応し、市場に影響を与えました。
ASMLの2025年業績見通しと市場の反応
リークされた決算データによると、ASMLの2025年の総売上高は、アナリストのコンセンサス予想である358億ユーロに対して、300億~350億ユーロと予想され、期待を下回りました。
ASMLは、最先端の半導体を製造するために必要な極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置を製造しています。同社の主要顧客には、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)、サムスン電子、インテル(INTC)などが含まれています。リソグラフィ装置は、高性能なチップの生産に不可欠であり、半導体業界全体に大きな影響を与える製品です。
この報道を受けて、ASMLの株価は16%も急落しました。その影響は他の半導体関連株にも波及し、エヌビディアの株価は5%下落しました。また、iShares Semiconductor ETF(SOXX)も4.57%の下落を記録し、半導体関連銘柄全体が影響を受けました。
AI分野の堅調な成長がエヌビディアに好材料
ASMLの業績見通しが期待を下回ったことは、エヌビディアにとって必ずしも悪材料ではありません。ASMLのCEO、クリストフ・フーケ氏はリークされたニュースリリースで、「AI関連の需要は引き続き堅調である」と述べており、業績不振の原因はロジックチップ市場にあることを強調しています。このため、PCやサーバー向けの中央処理装置(CPU)を製造するインテルが、業績低迷の原因である可能性が高いとされています。
エヌビディアは、AI分野において依然として強力な需要を享受しており、同社のGPU(グラフィックスプロセッサ)に対する需要は非常に高い水準にあります。
今月初め、エヌビディアは投資家向けプレゼンテーションにおいて、供給量が拡大しているにもかかわらず、「需要が供給を上回る状況が続いている」と説明しています。
Blackwell GPUの供給状況と今後の見通し
先週、エヌビディアの経営陣は、次世代のBlackwell GPU製品が「12か月先まで予約済み」であると述べました。これは、顧客が今日注文した場合、実際の納品が来年末になることを意味します。また、エヌビディアの最も重要なAIサーバーシステムであるBlackwellシリーズはすでに出荷が開始されており、需要に応じた供給が行われています。
15日、デル・テクノロジーズ(DELL)は、PowerEdge XE9712 Nvidia GB200 NVL72ベースのサーバーが一部の顧客向けにサンプル出荷されていることを発表しました。このNVL72サーバーは、36個のGB200 Superchipsを使用しており、これにより高密度の演算能力を実現しています。
今年初め、キーバンクはNVL72のコストを約380万ドルと見積もっており、エヌビディアのGB200出荷の大半を占めるとしています。
まとめ: ASMLとエヌビディアの業績に直接的な相関はない可能性
ASMLの業績動向とエヌビディアの業績は、直接的な相関関係がない可能性があります。ASMLは、ロジックチップ市場の停滞を示していますが、AI関連分野では堅調な成長が見込まれています。エヌビディアにとっては、AI分野での強力な需要が引き続き成長の原動力となる見込みです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA