S&P 500指数には500社が含まれており、その構成は時価総額加重平均方式に基づいています。つまり、時価総額が大きい企業ほど、指数全体に対する影響力も大きくなります。現在、S&P 500の上位3社はアップル、エヌビディア、マイクロソフトで、これらの企業の合計時価総額は約9兆8000億ドル、指数全体の19.7%を占めています。
テクノロジー株の支配的地位と投資パフォーマンス
2024年の上半期、エヌビディアの株価は156%の上昇を見せ、S&P 500の全体的な上昇の約3分の1を占めました。このような成長は、特にテクノロジー分野が株式市場を牽引している証拠です。そのため、これらの大手テクノロジー企業に投資しないポートフォリオは、市場全体のパフォーマンスを下回る可能性が高いと言えます。
そんな中、最も高いリターンをもたらす銘柄を予測することなく、こうした株に投資する簡単な方法として、バンガード・メガ・キャップ・グロースETF(MGK)が注目されています。
バンガード・メガ・キャップ・グロースETFの魅力
このETFは、アップルやエヌビディア、マイクロソフトといった世界を代表するテクノロジー企業に集中的に投資しており、71銘柄で構成されています。そのため、米国の最大成長企業へのエクスポージャーを追加したい投資家に最適な選択肢です。
ETF内のテクノロジーセクターの比率は61.4%と圧倒的で、特に上位5銘柄(アップル、マイクロソフト、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン)に大きく依存しています。
銘柄 | MGKの比率 | S&P 500の比率 |
---|---|---|
アップル | 13.52% | 6.97% |
マイクロソフト | 12.68% | 6.54% |
エヌビディア | 11.29% | 6.20% |
メタ・プラットフォームズ | 4.96% | 2.41% |
アマゾン | 4.54% | 3.45% |
テクノロジー株の集中投資のメリットとリスク
これらの上位企業への高い配分比率は、大きなリターンを期待できる反面、リスクも伴います。これらの企業が成長を続ける場合、ETFのパフォーマンスはS&P 500を上回るでしょう。しかし、これらの株価が低迷した場合、他の分野への分散が不十分であるため、ETF全体がS&P 500を下回る可能性もあります。
とはいえ、これらの企業は急成長中のAI(人工知能)業界において重要な役割を果たしています。アップルはOpenAIと提携して「Apple Intelligence」ソフトウェアを展開し、マイクロソフトやアマゾンはクラウドプラットフォームを通じてAIサービスを提供しています。また、エヌビディアはAI向けの高性能GPUで業界をリードしており、これらのテクノロジー企業は今後のAI革命の中心的存在です。
ETFのパフォーマンスと長期的展望
バンガード・メガ・キャップ・グロースETFは、2007年の設定以来、年平均13.1%のリターンを達成しており、S&P 500の年平均10.2%を大きく上回っています。さらに、過去5年間の年平均複利収益率は20.2%と特に高い成績を収めています。これは、クラウドコンピューティングやAI技術の普及が株価に大きく寄与したためです。
S&P 500も同期間で年平均16.7%のリターンを示しているものの、テクノロジーセクターの成長が続く限り、バンガードETFの優位性は維持されるでしょう。ウォール街の一部では、AIが今後10年間で7兆ドルから200兆ドルの価値を世界経済に付加するとの予測もあり、テクノロジー企業が引き続き市場をリードすると見込まれています。
コストの低さも魅力
このETFのもう一つの大きな魅力は、経費率がわずか0.07%という低コストです。バンガードによると、同等のファンドと比較して90%以上も安くなっています。投資家は、個別株のリスクを取らずに、米国の成長株に幅広く投資することができるため、長期的な資産形成を目指す上で理想的な選択肢と言えます。
まとめ
バンガード・メガ・キャップ・グロースETF(MGK)は、テクノロジー株への集中的なエクスポージャーを求める投資家にとって、魅力的な選択肢です。これまでの実績と、今後のAI革命による成長が続けば、S&P 500を上回るリターンが期待できるでしょう。加えて、低コストでの運用も投資家にとって大きなメリットです。市場の大きな流れに乗りたい投資家は、このETFをポートフォリオに加える価値があると言えそうです。