2024年10月10日に開催されたテスラ(TSLA)の「We, Robot」イベントは、多くの投資家やアナリストにとって刺激的であり、期待が高まる一方、株価には即座にネガティブな影響を及ぼしました。この記事では、イベントの詳細、アナリストの見解、テスラの株価動向、そして今後の投資戦略について解説します。
テスラの「We, Robot」イベントの概要
テスラは「We, Robot」という名前のイベントで、ハンドルなしのロボットタクシー「サイバーキャブ」を発表しました。このロボットタクシーは約3万ドル以下で販売予定で、完全自動運転(レベル5)の実現を目指しています。
パイパー・サンドラーのアナリスト、アレクサンダー・ポッター氏は、このイベントは「真の信奉者たち」にとって刺激的な内容であり、テスラが「紛れもなくユニーク」であることを再確認した出来事だったと述べています。しかし、同氏は2025年や2026年の予測を上方修正するにはまだ確信が持てないとも指摘しました。さらに、多くの投資家は、より具体的な発表を期待していた可能性が高いと述べています。
テスラ株価への影響と市場の反応
テスラの株価はイベント後の取引で約8%下落し、S&P 500指数の中でも最も大きな値下がりを見せました。多くのアナリストがこの下落について分析を行っており、その理由はイベントの内容が短期的な利益に結びつくものではなかったためと考えられています。
ウィリアム・ブレアのジェド・ドースハイマー氏は、「We, Robot」はこれまでのテスライベントの中で最も印象的なものの一つでありながらも、短期的な株価の動きに大きな影響を与えないだろうと述べています。特に低価格帯の「モデル2」の発表がなかった点が、投資家の期待を裏切った一因です。
一方で、テスラ株に弱気な見方を示すバーンスタインのアナリスト、トニー・サッコーナギ氏は、このイベントが期待外れであり、重要な詳細情報が欠けていたと評価しました。同氏は、テスラが完全自動運転(FSD)とロボットタクシー事業で継続的に利益を得ることは難しいと考えています。テスラが競合他社をリードする能力についても疑問を呈しています。
ロボットタクシー事業の課題と将来展望
テスラのロボットタクシー計画は、その革新性にもかかわらず、多くの課題に直面しています。ポッター氏が指摘するように、2027年まで実用化が難しいとされる「サイバーキャブ」の導入スケジュールに加え、価格設定やビジネスモデルの詳細が不透明なままです。また、規制当局の認可取得やテスラの自律走行技術の進展が投資家にとって不確実要素として残ります。
バーンスタインのサッコーナギ氏は、テスラが他のロボットタクシー事業者をリードできるかどうかについても懸念を示しています。たとえテスラがレベル5の自動運転を実現できたとしても、競合他社がその差をすぐに縮めるだろうとの見方です。
テスラ以外の選択肢:ウーバーの動向に注目
テスラのロボットタクシー計画が長期的な課題である一方、配車サービス大手のウーバー(UBER)に対してはポジティブな評価がなされています。バーンスタインのアナリストは、ウーバーが規制面や収益貢献で堅調な進展を見せていると評価し、オーバーウェイトの推奨を出しています。
実際、テスラのイベントが発表された後、ウーバーの株価は11日の米国市場で10%上昇しました。これは、投資家がテスラのロボットタクシー事業が配車サービス業界に対する脅威ではないと安心した結果であると考えられます。
まとめ:テスラ株の下落をどう見るか?
テスラの「We, Robot」イベントは、長期的なビジョンを示すものであり、同社の革新性を再確認するものとなりましたが、短期的には株価にネガティブな影響を与えました。しかし、多くのアナリストは、テスラが引き続き市場をリードする存在であり、今回の株価下落を好機と見るべきだと考えています。
また、テスラのロボットタクシー事業が完全自動運転を実現できるかどうかは、今後数年間の技術進展や規制動向に依存します。投資家は、短期的な市場の反応に左右されることなく、長期的な成長可能性に注目する必要があります。
*過去記事はこちら テスラ TSLA