アップル(AAPL)は、2025年初頭に低価格のiPhoneをリリースする計画を進めていると報じられています。この動きは、特に価格に敏感な顧客層を取り込むことを目的としており、中国の競合企業からの市場シェア奪還を目指しているようです。
新型iPhone SE:エッジ・トゥ・エッジスクリーンを採用
今回の新しいiPhoneモデルは、「V59」というコードネームで呼ばれており、アップルのエントリーモデルである「iPhone SE」の新バージョンになると報じられています。デザインはこれまでのSEとは異なり、ホームボタンを廃止し、エッジ・トゥ・エッジスクリーンを採用する見込みです。
iPhone SEのアップデートは2022年以来となり、特に価格に敏感な市場をターゲットにしたモデルです。アップルが公式にコメントを出していないため、詳細はまだ不明ですが、この新モデルは市場の注目を集めています。
iPhone 16の需要低迷と新モデルの必要性
アップルが低価格モデルを準備している背景には、iPhone 16の需要が予想以上に伸び悩んでいる現状があるようです。iPhone 16シリーズはリードタイムが短く、市場投入直後の売れ行きが鈍化していることが報告されています。この動向は、個人消費の停滞やスマートフォン市場での競争激化が影響していると考えられます。
2023年9月期のアップルの総売上におけるiPhoneの割合は52%を占めていますが、iPhoneの販売は2022年から2023年にかけて低迷し、2024年も減少が予想されています。このため、アップルは低価格なモデルを投入し、販売を加速させる戦略に出た可能性があります。
競争の激化と市場シェアの維持
アップルは現在、中国のファーウェイやシャオミといったブランドに市場シェアを奪われています。特に中国やインドなどの価格競争が激しい市場で、低価格モデルの投入は市場シェアの回復に寄与するかもしれません。しかし、同時にアップルのブランド力が損なわれ、マージンが圧迫されるリスクも存在します。アップルは、常に高価格帯の製品でプレミアムなイメージを維持してきましたが、低価格モデルがこのイメージにどう影響を与えるかは今後の焦点となるでしょう。
Apple Intelligence:新しいAI機能への期待
新型iPhone SEには、アップルが発表した新しい人工知能機能「Apple Intelligence」が搭載される可能性があると報じられています。この機能は、iPhone 16にも対応する予定ですが、現在は搭載されておらず、正式なリリース時期は未定です。
Apple Intelligenceは生成AIを活用した機能で、これが搭載されることでiPhoneの需要がさらに高まると予測されています。特に、多言語対応のAI機能が広く利用できるようになれば、消費者の関心を引き、購入意欲が向上すると予想されます。J.P.モルガンのアナリスト、サミック・チャタジー氏は、「Apple Intelligenceの提供により、価値提案がより明確になり、消費者が購入を決定する要因となる可能性が高い」と述べています。
アップル株価の見通し
アップルの株価は現在、226ドル前後で推移しています。2024年に入り、アップル株は17%上昇していますが、同期間のS&P500指数が20%上昇しているため、やや遅れを取っている状況です。しかし、J.P.モルガンはアップル株を「オーバーウェイト」と評価し、目標株価を265ドルに設定しています。今後のAI機能の展開や低価格モデルの投入によって、アップル株価にさらなる上昇が期待されます。
アップルの新しい戦略が、スマートフォン市場にどのような影響を与えるかは注目すべきポイントです。低価格モデルの投入が成功すれば、アップルは競争の激しい市場で再び優位に立つ可能性がありますが、同時にブランド力の維持と利益率確保という課題も抱えています。
*過去記事はこちら アップル AAPL