サーバーメーカーとして注目を集めていたスーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI) に対する法的問題がさらに複雑化し、同社の株価に新たな不透明感が漂っています。
司法省による調査がスーパーマイクロに打撃
9月26日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国司法省がスーパーマイクロを調査していると報じました。この調査はまだ初期段階にあり、詳細は明らかになっていませんが、ヒンデンブルグ・リサーチが発表した批判的な報告書がきっかけとなっている可能性が高いとされています。
ヒンデンブルグは、アクティビストの空売り企業であり、同社がスーパーマイクロの内部財務管理に重大な問題があると指摘しました。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道が伝わると、スーパーマイクロの株価は急落。26日の取引では一時12%下落しました。27日に株価は4.3%上昇しましたが、最終的に先週は419.74ドルで取引を終えました。これは、今年3月に記録した1188ドルという高値から大幅な下落を示しています。
ヒンデンブルグ・リサーチの報告と過去の財務問題
ヒンデンブルグ・リサーチの報告書は、スーパーマイクロに対する内部告発や不適切な収益認識について指摘しています。元幹部であるボブ・ルオン氏が起こした訴訟によれば、スーパーマイクロはハードウェアの利益率を不正に計上し、収益を過大に認識していたとされています。この告発は、2020年に証券取引委員会(SEC)がスーパーマイクロに対して行った会計上の不正行為の指摘を再び注目させるものです。
さらに、ルオン氏の訴訟では、スーパーマイクロがSECの告発後に解雇した従業員の多くを再雇用していたことが問題視されています。スーパーマイクロは、この訴訟を仲裁で解決しようとしていますが、ルオン氏側の弁護士はこれを「隠蔽工作」だと批判しています。
スーパーマイクロの内部統制と株価への影響
スーパーマイクロは2024年の財務報告において、内部統制の見直しが必要であると発表しましたが、財務実績には重大な変更がないと強調しています。しかし、ヒンデンブルグの報告書が指摘したような内部統制の欠陥は、投資家にとって大きな不安材料です。
特にAIブームにより一時的に株価が急騰した同社ですが、現在の法的問題によりS&P 500銘柄の中でも最悪のパフォーマンスとなっており、投資家は警戒を強めています。
司法省の調査と今後の展望
現時点で、司法省が調査している内容や範囲については明確にされていません。ヒンデンブルグの指摘を受けた内部告発に関連している可能性もありますが、まだ推測の域を出ません。調査が進行中であるため、刑事事件に発展するのか、民事事件で終わるのかも不透明です。
ヒンデンブルグはまた、スーパーマイクロが制裁や輸出規制を回避していると主張しており、これによりさらなる調査の余地が残されています。同社は米国政府の規制を遵守していると主張していますが、この件に関する真偽は今後の調査で明らかになると思われます。
まとめ
スーパーマイクロはAI関連銘柄として大きな注目を集めてきましたが、現在の法的問題と内部統制の不備は投資家にとって大きなリスクです。今後の調査結果によっては、さらなる株価の下落が予想されるため、投資家は慎重な姿勢で臨む方が賢明と思われます。
スーパーマイクロの株価は過去数ヶ月間で大きく変動しており、短期的なボラティリティも高い状況が続いています。これらの問題が解決されるまでは、投資を新規に行うことや追加投資を検討する際には、リスクを十分に理解した上で行動することが重要です。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI