AI(人工知能)の急速な発展により、データセンターの電力需要が急増しています。特に、電力消費量の多いAIデータセンターを運営するテクノロジー企業が、安定的かつクリーンなエネルギー供給を確保しようと動き出しているため、原子力発電資産を持つ独立系発電事業者の株価が大幅に上昇しています。
この背景には、マイクロソフト(MSFT)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)などの大手テクノロジー企業が、データセンターの電力供給源として、原子力エネルギーを採用していることが挙げられます。彼らは、それぞれコンステレーション・エナジー(CEG)やタレン・エナジー(TLN)との契約を結び、二酸化炭素を排出しないエネルギー供給を確保しています。
GEヴァーノヴァに注目すべき理由
このような原子力エネルギーへのシフトにより、ウォール街でも新たな投資先として注目されているのがGEヴァーノヴァ(GEV)です。GEヴァーノヴァは、ゼネラル・エレクトリック(GE)の発電事業部門として2024年4月にGEエアロスペースから分離独立しました。この新興企業は、以下のような幅広いエネルギーソリューションを提供しています。
- 天然ガス火力発電タービン
- 風力タービン
- 送電網運営者向けのハードウェア・ソフトウェア
- 原子力発電所へのサービス提供
特に原子力発電の分野でのサービス提供により、環境負荷を抑えた持続可能なエネルギー供給が期待されています。また、テクノロジー企業が求める低炭素排出ソリューションとして、今後ますます需要が拡大すると予想されます。
データセンター向けの天然ガスソリューションも見逃せない
原子力発電が注目される一方で、天然ガスもクリーンなエネルギー源として存在感を増しています。モルガン・スタンレーのアナリスト、アンドリュー・ペルココ氏は、天然ガスを利用した電力ソリューションがAIデータセンターのエネルギー供給において重要な役割を果たすと述べています。
「私たちは、GEヴァーノヴァのガスタービン機器を利用したコロケーションデータセンターとガス火力発電所が2025年に発表される可能性があると信じています」とペルココ氏はレポートに記しています。
GEヴァーノヴァの株価動向とウォール街の評価
2024年にはすでに2013年以来最高の受注数を記録しており、GEヴァーノヴァの株価はその期待感を反映しています。株価の上昇率は過去3ヶ月で42%を記録しています。ペルココ氏は、GEヴァーノヴァの目標株価を256ドルと設定しており、現在の株価もそれに近づいています。9月24日の時点で、GEヴァーノヴァの株価は255.5ドルに達しています。
ウォール街でも、GEヴァーノヴァへの期待は高まっており、カバーするアナリストの83%が「買い」推奨を出しています。これは、S&P 500(SPX)種構成銘柄の平均的な「買い」推奨率(約55%)を大きく上回っています。
まとめ:GEヴァーノヴァは今が投資の好機か?
原子力エネルギーと天然ガスのクリーンなエネルギー供給ソリューションを提供するGEヴァーノヴァは、今後の成長が期待される企業です。特に、AIブームによるデータセンターの電力需要増加が後押しする形で、GEヴァーノヴァの株価は高い評価を受けています。ウォール街でも多くのアナリストが「買い」推奨を出しており、今が投資のチャンスと言えます。