イスラエルの自動運転技術企業モービルアイ・グローバル(MBLY)の投資家は、同社の筆頭株主であるインテル(INTC)が同社株の売却を計画していないことを確認し、安心感を取り戻しました。これにより、9月19日の米国市場でモービルアイの株価は17%も上昇しました。
モービルアイとインテルの関係
インテルは2017年にモービルアイを買収し、2022年の新規株式公開(IPO)を通じてモービルアイをスピンアウトさせましたが、依然として議決権を持ち続けています。このため、インテルはモービルアイの経営に強い影響力を保持しています。モービルアイは、自動運転技術および先進運転支援システム(ADAS)の開発におけるリーダーとして、市場で独自の地位を確立しています。
しかし、インテルはここ数年、事業全体で技術的な失敗や市場シェアの喪失に苦しんでおり、製造業のリーダーシップを取り戻すべく、ファウンドリー事業(他社のための半導体製造)に注力しています。この取り組みは、インテルが半導体製造における競争力を再確立し、利益を最大化するための戦略の一部です。
インテルの株式売却の噂と声明
最近、インテルがモービルアイの株式を売却する可能性が報じられましたが、同社は19日に「現時点ではモービルアイの株式売却の計画はない」と公式に声明を発表しました。この発表はモービルアイの投資家に安堵をもたらし、同社の株価上昇につながりました。
インテルは声明の中で、「モービルアイの筆頭株主として、価値創造に揺るぎない重点を置いており、同社の将来に大きな期待を寄せている」と述べています。さらに、インテルは自社の財務改善に向けた別の手段として、「より標準化されたノード開発のペース」や「柔軟で効率的な資本計画」への移行を進めることを発表しました。
モービルアイと市場環境の課題
2024年に入って以降、インテルの株価は約60%の下落を経験しています。一方で、モービルアイも年初来で73%の株価下落に直面しており、顧客の過剰在庫や中国市場の圧力などがその要因として挙げられます。モービルアイは、これらの課題に対処しつつ、自動運転技術の未来に向けた開発とリーダーシップを強化しています。
将来の見通し
インテルは、モービルアイの売却に代わる財務改善策を講じる一方で、モービルアイの自動運転技術における将来の可能性に大きな期待を寄せています。しかし、インテルの財務状況を改善し、信頼を回復するには、今後数四半期にわたる着実な実行が必要であると指摘されています。
まとめ
インテルは、モービルアイに対する長期的な投資を継続する姿勢を明確にし、自動運転技術市場におけるリーダーシップを強化する計画です。今回の株式売却の噂の否定は、モービルアイの投資家にとっての安心材料となり、同社の株価上昇につながりました。今後、モービルアイの市場での展開とインテルの戦略がどのように進化していくか、引き続き注目されます。
*過去記事「自動運転の未来を牽引!モービルアイ株の格上げとその影響」