9月16日の米国市場でマイクロン・テクノロジー(MU)の株価が大きく下落しました。モルガン・スタンレーのアナリストが目標株価を大幅に引き下げたことが大きな要因で、同社の短期的な業績に対する懸念が強まる中、投資家の間でも不安感が広がっています。
モルガン・スタンレーのアナリストは、マイクロンの目標株価を140ドルから100ドルに引き下げましたが、株式の格付けは「イコールウェイト」を維持しています。同社の株価は6月18日に付けた過去最高値153.45ドルから43%あまり下落しており、今後の業績に対する不透明感が依然として強いことを示唆しています。
マイクロンの株価に影響を与えた要因
アナリストらは特に、マイクロンの平均販売価格(ASP)の伸びに疑念を抱いています。第4四半期および第1四半期の販売価格の動向について、現時点でポジティブな兆候が見られないとし、株価はしばらく低迷する可能性が高いとしています。この背景には、半導体業界全体の供給過剰に対する懸念が影響しており、短期的な価格決定力に不安が残ります。
9月16日のマイクロンの株価は4.43%下落して87.18ドルとなり、過去1年では24%の上昇を記録しているものの、9月だけで10%の下落を経験しています。歴史的に9月は株式市場にとって最もパフォーマンスが低い月であり、ハイテク株全般が低調な動きを見せています。
マイクロン株に対する他のアナリストの見解
9月12日には、BNPパリバのアナリストであるカール・アッカーマン氏が、マイクロンの格付けを「アウトパフォーム」から「アンダーパフォーム」に引き下げ、目標株価を140ドルから67ドルに設定しました。同氏は、マイクロンの主力製品である高帯域幅メモリ(HBM)の供給過剰が、今後の販売価格に大きな影響を与えると予測しています。このため、マイクロンは2025年まで競合他社に対して業績で劣る可能性が高いと述べています。
一方で、モルガン・スタンレーはこれに対して慎重なスタンスを維持しています。同社のアナリストは、マイクロンの株価に対する懐疑的な見方がすでに織り込まれているとの見解を示し、サイクルの動向については大きな変化がないと述べています。
マイクロンの今後の見通しと投資家への影響
現在、マイクロンの株価は1年後の予想利益の9.4倍で取引されており、これは過去5年間の平均である21倍を大幅に下回る水準です。今後のマイクロンの業績動向を占う上で、9月25日に発表予定の第4四半期決算報告が注目されています。
投資家にとって重要な指標は、マイクロンのメモリチップの需要と供給のバランスです。特にAI技術の進展に伴い、半導体業界全体の需要が増加しているものの、供給過剰による価格競争の激化が業界全体に影響を与えているため、慎重な判断が求められます。
また、アメリカと中国の間で進行中の貿易摩擦が、半導体業界に対するリスク要因となっており、特にバイデン政権による中国への半導体製造設備の輸出制限が強化される可能性が指摘されています。これにより、半導体株全体に影響が及んでおり、マイクロン株も例外ではありません。
まとめ
マイクロン・テクノロジーは、今後の業績見通しに対する不透明感が強まっている状況にあります。アナリストによる目標株価の引き下げや、半導体業界全体の供給過剰に対する懸念が同社の株価に影響を与えている一方で、長期的な成長性やAI技術の普及による需要増加も期待されています。
投資家は、9月25日の第4四半期決算を注視し、今後の需給バランスに関する情報に基づいて慎重な投資判断を下す必要があります。