アマゾンウェブサービス(AWS)とのカスタムチップ設計提携に関するニュースが報じられたことで、9月16日のアフターマーケットでインテル(INTC)の株価が急上昇しています。
インテルとAWSの提携が株価に与えた影響
9月16日の市場が終了したあと、インテルはAWSとの提携を拡大し、数十億ドル規模の共同投資を行うことを発表しました。具体的には、インテルは最先端の「インテル18A」プロセスを利用して、AWS向けのAIファブリックチップを製造します。さらに、データセンター向けのカスタムXeon 6チップも、インテル3製造プロセスで生産することが予定されています。
このニュースを受けて、インテルの株価は時間外取引で8%上昇し、22.58ドルとなりました。通常取引でも、6.4%の上昇を見せ、半導体業界全体が冴えない中で、インテルの動きは市場を驚かせています。
インテルのファウンドリー事業と戦略的展開
インテルのCEO、パット・ゲルシンガー氏は従業員向けメモの中で、インテル・ファウンドリー・チップ製造事業部門を独立子会社化する計画を示しました。これは、同社が台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)やサムスン電子に対抗するための戦略的な一歩といえます。
この独立子会社化は、インテルの将来を見据えた重要な変革であり、よりスリムで効率的な企業運営を目指すための施策の一環です。
国防総省向け半導体製造への助成金
また、インテルは、2024年9月に国防総省向けの「セキュア・エンクレイブ」プログラムの一環として、最大30億ドルの直接資金援助を受けることが決定しました。これは、CHIPS・科学法の下で提供される資金であり、アリゾナ州やオハイオ州の製造拠点を支援する目的も含まれています。
インテルがこの助成金を受け取ることは、米国政府が同社の技術的リーダーシップに信頼を寄せている証です。半導体業界が直面する厳しい状況下でも、政府からの支援は、インテルが戦略的に再建を進めるうえで重要な後押しとなります。
インテルの今後の見通し
インテルは、2024年初頭から困難な時期を迎えており、株価は約58%下落しました。また、約1万5000人の従業員削減や配当金停止といった厳しい措置も講じられました。しかし、アマゾンとの提携や国防総省との関係が強化されることで、同社の株価は徐々に回復しつつあります。
インテルの長期的な目標は、グローバルな半導体競争でのリーダーシップを取り戻すことです。特に、ファウンドリー事業の強化や最先端製造プロセスの活用により、競合他社との競争力を高めることが期待されています。
まとめ:今後の投資ポイント
インテルは、アマゾンとのカスタムチップ設計提携により、AI技術やクラウドインフラ分野での成長が見込まれます。また、国防総省からの支援も含め、政府との強固な関係が同社の財務基盤を支える要因となりそうです。
これらの要因を総合的に考慮すると、インテルの株価は今後も注目の対象となり、長期投資家にとって魅力的な銘柄となる可能性が高くなっています。