バイオテクノロジー株の再評価: FRB金利引き下げがもたらす新たな成長の波

  • 2024年9月3日
  • 2024年9月3日
  • BS余話

バイオテクノロジー業界とその投資家にとって、待望の瞬間が迫っています。連邦準備制度理事会(FRB)が近々金利引き下げを実施する見込みであり、これがバイオテクノロジー株に新たな息吹をもたらす可能性があります。

バイオテクノロジー業界の現状と課題

バイオテクノロジー業界は、その名に「テクノロジー」と冠されながらも、過去数年間において期待された成果を十分に達成していません。SPDR S&P バイオテクノロジー ETF (XBI) は、過去5年間で年率4.6%のリターンにとどまり、S&P 500の16%というリターンを大きく下回っています。これは主に、バイオテクノロジー企業の80%以上が赤字であり、研究開発や試験を続けるためには資金調達が不可欠であることが原因です。特に金利が5%を超える現状では、資金調達が非常に困難になっています。

FRBによる金利引き下げの影響

しかし、状況は変わりつつあります。FRBが9月18日に金利引き下げを発表する可能性が高まっており、先物市場では0.25%の引き下げの可能性が65.5%、0.5%の引き下げの可能性が34.5%とされています。ジェフリーズのアナリスト、マイケル・イー氏によれば、バイオテクノロジー株と金利は強い負の相関関係にあり、金利が下がるとバイオテクノロジー株が上昇する傾向にあると指摘しています。この金利引き下げが実現すれば、バイオテクノロジー業界は2024年から2025年にかけて大きな成長を遂げる可能性があります。

バイオテクノロジー業界の改善兆候

2024年第2四半期には、キャッシュフローがマイナスとなった中小規模のバイオテクノロジー企業は693社にとどまり、2022年の同四半期の949社から減少しました。これは、最も経営難に陥っている企業が統合され、業界の安定化が進んでいる兆しです。さらに、これらの企業は手元に7四半期分の現金を保有しており、この数字は過去3四半期で安定しています。

バイオテクノロジー株への投資機会

バイオテクノロジー株にはすでに明るい兆しが見え始めています。SPDR S&P バイオテクノロジー ETFは、過去3ヶ月間で12%の上昇を記録しており、S&P 500の6.7%上昇を大きく上回っています。ファンドストラットのテクニカル戦略部門の責任者であるマーク・ニュートン氏は、この上昇傾向が続くと予想しており、今後もバイオテクノロジーETFやヘルスケアセクターがアウトパフォームする可能性が高いと述べています。

ギリアド・サイエンシズの転換期

大型バイオテクノロジー企業の中でも、特にギリアド・サイエンシズ(GILD)に注目が集まっています。同社は、長時間作用型のHIV治療薬の市場投入が「市場を一変」させる可能性があり、株価上昇の余地があるとジェフリーズのイー氏は指摘しています。ギリアドの株価は現在12カ月先の将来利益の13倍で取引されており、依然として過小評価されているとの見方が強まっています。イー氏は、ギリアドの目標株価を8月30日の終値79ドルより20%高い95ドルに引き上げており、これは2016年以来の高値水準です。

まとめ

FRBによる金利引き下げは、バイオテクノロジー業界にとって大きな追い風となるでしょう。業界の統合が進む中、企業は安定し、投資家にとって魅力的な市場環境が整いつつあります。今後、バイオテクノロジー株は再び脚光を浴び、その成長が期待される時期の到来が予想されています。

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