エヌビディア(NVDA)は、人工知能(AI)ブームの中心にあるチップメーカーとして、その成長に世界中の投資家が注目しています。しかし、8月28日に発表された第3四半期の売上見通しは、市場の一部で最も楽観的な予測を下回る結果となり、同社の爆発的な成長が鈍化しているのではないかという懸念を呼び起こしています。
売上見通しと株価の動向
エヌビディアは、第3四半期の売上が約325億ドルになると予想しています。この数字は、アナリスト予想の平均319億ドルを上回るものの、一部の予想では最大で379億ドルに達すると見られていました。この楽観的な見通しを下回った影響もあってか、エヌビディアの株価は時間外取引で一時8%下落しました。今年に入ってからの株価はすでに2倍以上に上昇しており、2023年には239%の伸びを示していますが、この下落は同社の成長鈍化への懸念を反映しています。
Blackwellチップの課題と今後の見通し
エヌビディアは、次世代チップ「Blackwell」の生産に関して問題を抱えていることを認めました。同社は製造歩留まり(工場から出荷される機能チップの数)を改善するための変更を加えていると述べており、これが売上に影響を与える可能性があります。しかし、第4四半期にはこの製品から「数十億ドル」の売上を見込んでおり、エヌビディアのCEOであるジェンスン・フアン氏は、「Blackwellに対する期待は非常に大きい」との声明を発表しています。
AIインフラ市場におけるエヌビディアの地位
エヌビディアの売上の約40%は、アルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)などの大規模なデータセンター事業者によるもので、これらの企業はAIインフラに数十億ドルを投じています。しかし、現在のインフラ整備が需要を上回っているのではないかという懸念もあり、一部ではバブルの可能性が指摘されています。一方で、エヌビディアの支持者は、これがテクノロジーと経済の新時代の始まりに過ぎないと主張しています。
データセンター部門の強力な成長
エヌビディアのデータセンター部門は、現在、同社最大の売上源となっており、第2四半期の売上高は263億ドルに達しました。ゲーム用チップの売上は29億ドルで、アナリストの予測を上回る結果となりました。特に、AIアクセラレータとしての役割が高まる中で、エヌビディアの技術は他のチップメーカーを大きくリードしており、同社の成長を支えています。
競合企業とエヌビディアの将来
エヌビディアにとって最も手強い競合相手は、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD))です。一方、かつて世界最大のチップメーカーであったインテル(INTC)は、大きく後れを取っています。現在、両社を合わせた市場からの売上は、エヌビディアの総売上のわずか約5%にすぎません。
エヌビディアは、AIアクセラレータとしての技術により、他のチップメーカーに対して大きな競争優位を持ち続けています。しかし、ライバル企業も追い上げており、今後の競争が一層激化することが予想されます。
エヌビディアの未来
エヌビディアの成長は、AI市場の拡大に密接に関連しており、その動向は今後も注視されるべきです。特にBlackwellチップの生産と供給が順調に進むかどうかが、エヌビディアの将来を大きく左右するでしょう。現在の市場での地位を維持しつつ、さらなる成長を遂げるために、エヌビディアは引き続き革新を続ける必要があります。
エヌビディアの株価が今後どう動くかは、AI技術の進化と市場の需要次第です。しかし、同社の技術と市場での地位を考慮すると、長期的な成長の可能性は依然として高いと言えそうです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA