エヌビディア(NVDA)は、近年の人工知能(AI)ブームを牽引する企業として、投資家からの注目を集め続けています。しかし、どんなヒーローにも転落の時が訪れるように、エヌビディアもまた、期待と現実の狭間で揺れる瞬間がやってきたようです。
投資家たちは、エヌビディアの決算発表に大きな期待を寄せていました。それは、AI(人工知能)ブームがまだ続くのか、それとも終焉を迎えたのかを示す明確なメッセージを期待してのことでした。しかし、第2四半期の決算は、アナリストの予測を上回り、売上高が300億ドルを超えたものの、第3四半期の売上高ガイダンスは325億ドル(誤差±2%)と予想されており、期待されたほどの爆発的な成長を示すものではありませんでした。
エヌビディアの株価は発表直後に8%下落しており、これは投資家にとって失望を意味するのかもしれません。しかし、オプション市場では10%の変動が予想されていたため、実際のところはそれほど驚くべき動きではなかったと言えるでしょう。
期待のピークと現実のギャップ
エヌビディアの業績と売上が大幅に増加したとはいえ、どんなビジネスも永遠に倍増し続けることはできません。今回の株価の動きは、アナリストがモデルを修正し、投資家が期待を調整し、そしてジャーナリストが物語を少し修正する必要があることを示唆しています。しかし、大幅な見直しは不要のようです。
エヌビディアが市場全体に与える影響
エヌビディアの業績が市場全体を動かすことは、投資家が思うほど多くはありません。実際、過去8回の決算発表のうち、エヌビディアとS&P 500指数 (SPX) が同じ方向に動いたのは4回だけです。S&P 500の平均変動率は0.9%であり、エヌビディアが4%上昇した2022年8月の発表時には、S&P 500は逆に3.4%下落しました。
さらに、最近のエヌビディアとS&P 500の相関性は0.658と、2022年初頭の0.851よりも低下しています。これにより、S&P 500がエヌビディアの動向に対して以前ほど敏感ではなくなっていることが示唆されています。
エヌビディアを超えた市場の成長期待
市場はエヌビディアやAI関連株に頼らずとも、さらなる成長を見込んでいるかもしれません。グレンメドのジェイソン・プライド氏とマイケル・レイノルズ氏によれば、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要株のグループは、前年同期比で34%の利益成長を記録していますが、S&P 500全体の成長率は約6%にとどまっています。このギャップは次の四半期で縮小する見込みで、2024年第4四半期までには両者ともに中程度の成長を遂げると予想されています。
特に、小型株が今後の成長を牽引する可能性が高く、今後6四半期で大企業を上回る利益成長が期待されています。
低金利時代の新たな強気相場
今後の市場において、特に注目されるのは連邦準備制度理事会(FRB)の金利引き下げの動きです。これにより、現在の市場環境が大きく変わり、新たな強気相場が始まる可能性があります。
ポールセン・パースペクティブ・ニュースレターを発行する独立系ストラテジストのジム・ポールセン氏は、「通常、強気相場は景気後退の終わりにFRBが金利を引き下げるタイミングで始まりますが、今回の強気相場は非常に異例です」と指摘しています。
これまでの市場では、エヌビディアや他の主要株が主導権を握っていましたが、FRBの金利引き下げが始まれば、より幅広い市場の上昇が期待されることになりそうです。
エヌビディアに頼らない市場の未来
市場は、エヌビディアやAI関連株に依存せずとも、さらなる成長の余地を持っているかもしれません。特に、小型株や広範な市場の参加が今後の主要なテーマになると予想されます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA