マイクロソフト(MSFT)は8月21日、注目を集めるクラウドコンピューティング事業「Azure」の成長を促進するための財務報告再編成を発表しました。今回の変更は、投資家に対し、同社のクラウドサービスの成長をより明確に理解させることを目的としています。
Azureの売上報告の再編成
マイクロソフトは、Azureに関連するサービスの利用状況をより簡単に追跡できるようにするため、報告体制を変更することを決定しました。この変更の一環として、検索およびニュース広告からの売上の一部がAzureの売上に含まれることになります。一方、企業向けデータ視覚化製品「Power BI」や「エンタープライズモビリティ&セキュリティグループ」に関連する売上はAzureから除外され、別のセグメントに移行されます。
投資家への影響:成長率に注目
今回の会計処理の変更は、マイクロソフトの全体的な売上や利益には直接的な影響を与えません。しかし、Azureの成長率が加速することは、投資家にとって重要なポイントとなります。特に、マイクロソフトが人工知能(AI)技術への投資を通じてクラウドコンピューティングの利用をどのように拡大しているかを評価する上で、Azureの成長は注目されるべき指標です。
新しい予測とその背景
マイクロソフトは、新しい報告体制の下で、Azureおよびその他のクラウドサービスの売上が前年同期比で33%増加すると予想しています。これは、従来の体制での28%〜29%の成長率を上回るものであり、クラウドコンピューティング事業の加速を示しています。
また、Azureを擁するインテリジェントクラウド部門の今期の売上予測は、従来の286億ドル〜289億ドルという予測から、238億ドル〜241億ドルに下方修正されましたが、これはあくまで報告体制の変更に伴うものです。全体としての成長は依然として強固であり、AI技術の導入がAzureの成長に大きく寄与していることが示唆されています。
AI技術の影響
特に注目すべきは、AIがAzureの成長に与える影響です。新しい報告体制では、マイクロソフトは6月期のAzure事業の成長率を35%と報告し、そのうち11%ポイントがAIサービスによるものでした。これに対して、従来の報告体制では成長率は30%、AIによる貢献は8%ポイントとされていました。
このことから、AI技術がクラウドサービスの成長を促進する鍵となることが明らかになっています。
まとめ:投資家にとっての意味
今回の報告体制の再編成は、マイクロソフトの事業全体を変革するものではありませんが、クラウドコンピューティング事業の成長をより正確に評価するための重要なステップです。投資家は、マイクロソフトがアマゾン(AMZN)のAWSやアルファベット(GOOGL)のGoogle Cloudといった競合他社とどのように対峙し、AIを活用した成長をどのように実現していくかを注視することができます。
マイクロソフトのクラウドコンピューティング事業は、引き続き成長の原動力であり、その報告体制の変更は、投資家にとって重要な指標となります。
*過去記事 マイクロソフト MSFT