最近、米国株式市場で最も注目されているのは小型株です。特にラッセル2000指数(RUT)はわずか5日間で11.5%急騰し、2024年の史上最高値を更新しました。これにより、多くの投資家が小型株への投資を考え始めています。しかし、ここで注意が必要です。
小型株の急騰の背景
小型株の急騰の背景にはいくつかの要因があります。まず、投資家が高騰するハイテク銘柄から資金をシフトしていることが挙げられます。過去5日間でラッセル2000はS&P500指数を10%ポイント上回り、過去最大の差でアウトパフォームしました。これは、小規模企業がいわゆるマーケット・ローテーションの恩恵を受けていることを示しています。
さらに、市場ストラテジストによれば、投資家がスタンスを変えているのは、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレとの闘いで成果を上げ、利下げに踏み切る可能性が高いと市場が確信しているからです。金利先物市場もFRBが9月の政策委員会で借入コストを引き下げる確率が高いことを示しています。
トランプ・トレードの影響
もう一つの要素として、トランプ前大統領の2期目当選の可能性が高まるにつれ、投資家が法人税率の引き下げを期待していることが挙げられます。法人税率が現在の21%から15%に引き下げられる可能性があるため、小型株への投資が増加しています。
投資家が考慮すべきポイント
小型株への投資を考える際には、ファンダメンタルズを重視することが重要です。直近のアウトパフォームは、小型株企業の事業に大きな変化があったわけではなく、業績や収益が上向いたわけでもありません。
ウォルフ・リサーチのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、クリス・セニェック氏は、予想を上回る決算とポジティブな業績予想があれば、年末にかけてこのセクターへの投資意欲が倍増する可能性があると述べています。また、人工知能の採用に関するネガティブなニュースや、ハイテク企業の設備投資に関する悲観的なコメントは、大型ハイテク株に打撃を与え、さらに資金が小型株へ流れる可能性もあります。
今後の見通し
しかし、その一方で、小型株が利下げや経済成長の恩恵を受ける能力は限界に達しているとの見方もあります。過去5日間でナスダック総合株価指数を過去最大の差でアウトパフォームした小型株は、すべての好材料をすでに織り込んでいる可能性があります。そのため、ここからリターンのペースが落ちる可能性が高いと予想されます。
ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズは、「小型株に投資する適切な機会をうかがっているが、今すぐこのラリーを追いかけようとは考えていない」と述べています。
まとめ
小型株の急騰は一時的な現象であり、投資家は慎重になるべきとの見方を唱える専門家が多くなっています。市場の動向を注意深く監視し、ファンダメンタルズに基づいた投資判断を行うことが重要です。時には、待つことが投資家にとって最善の選択肢となることもあります。