大手テクノロジー企業がAIハードウェアの購入に多額の資金を投入している現状について、ムーディーズのアナリストが警鐘を鳴らしています。アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT) などの企業は、今後数年間にわたりデータセンターのキャパシティを大幅に増強するために、資本支出予算を大幅に拡大しています。しかし、こうした動きにはリスクが伴うと指摘されています。
大規模データセンターの建設とAI機能の提供
ムーディーズのアナリスト、ライ・ジョシ氏率いるチームは、7月17日付けのレポートで、「いくつかのセンターは、50万平方フィート(サッカー場6個分)以上の広さがあり、建設費は10億ドル以上かかる」と述べています。これらのデータセンターの目的は、消費者や企業に新しいAI機能をもたらすことにあります。
ハイパースケール・クラウド・プロバイダーは今年、合わせて480億ドル以上の情報技術予算を投じる可能性があると予測されています。しかし、このトレンドが予測通りに進む保証はなく、リスクも存在します。
リスクと市場競争の激化
AIアプリケーションの需要が予想より低ければ、これらの企業は投資に見合うリターンを得るまでに予想以上の時間を要する可能性があります。さらに、AIサービスの市場競争が激化する中で、「AIサービスの価格設定が強制的に引き下げられ、既存のコアビジネスで享受している利益率を下回る可能性がある」とムーディーズは指摘しています。
財務状況と資本還元への圧力
マイクロソフト、アルファベット、アップル(AAPL)、アマゾン、メタにとって、この支出は「容易に手が届く」ものであり、これらの企業は潤沢な現金と豊富なフリーキャッシュフローを保有しています。しかし、オラクル(ORLC)は状況が異なり、多額の自社株買いや買収支出の結果、財務の柔軟性が低下していると指摘されています。
ムーディーズは、オラクルの調整後総負債の対EBITDA比率を4.3倍と計算しています。ウォール街では、AI投資のペースや、AI開発に大金をつぎ込む企業が投資に見合う収益を上げるかどうかに対する懸念が高まっています。
AI投資の未来:期待と現実
バークレイズのアナリストは最近、企業が「FOMO(取り逃がす恐れ)」から投資しているのか、それとも「Field of Dreams」のように莫大なAI収益を認識しようとしているのか、疑問を持ったそうです。検討した結果、「我々はFOMOに傾いており、来年誰かがひるむと予想している。しかし、AIはまだ黎明期にある」と結論付けたと述べています。
AIハードウェア投資のリスクと期待について、ムーディーズやバークレイズのアナリストの見解を踏まえ、大手テクノロジー企業の今後の動向に注目が集まります。