ループ・キャピタルは7月15日、アップル(AAPL)を「ホールド」から「買い」に格上げし、目標株価を231ドルから300ドルに引き上げました。株価は15日午後の段階で235ドルあまりで取引されており、新しい目標株価は28%の上昇余地があることを示しています。
アナリストのアナンダ・バルア氏とサプライチェーンアナリストのジョン・ドノバン氏はそのリサーチノートにおいて、アップルは消費者が生成AIを利用する際の「ベースキャンプ」としての地位を確立するチャンスがあると述べています。
アップルのAI戦略:iPhoneと同様の成功を目指して
ループ・キャピタルのリサーチノートによれば、アップルは15年前のiPhoneや20年前のiPodで成功したように、AIの時代においても同様の成功を収める可能性があります。これにより、AIが株価の重要な起爆剤となると述べています。今後数年間で、アップルが生成AIの主要なプラットフォームとして選ばれることが期待されています。
スマートフォン市場の現状とアップルの課題
最新のスマートフォン市場データによると、アップルのiPhone出荷台数は前年同期比1.5%増の4,520万台でしたが、市場シェアは16.6%から15.8%に低下しました。全体のスマートフォン出荷台数は前年比6.5%増の2億8540万台で、中国メーカーが安価な携帯電話の販売でシェアを拡大しています。
アップルにとっての本当の課題は、iPhoneの売上を回復させることです。特に米国と中国において、AIがこの回復を後押しする重要な要素となると見られています。IDC アジア/パシフィックのシニアリサーチマネージャーであるウィル・ウォン氏は、AI搭載スマートフォンが5Gやフォルダブル技術と並んで次の成長ドライバーになると述べています。
中国市場での競争と今後の見通し
カウンターポイント・リサーチによると、世界の消費者向けスマートフォン販売台数は第2四半期に前年比6%増となり、2021年第2四半期以来の高い伸びを見せました。しかし、アップルの消費者向け売上は1%減少しました。これは、米国での端末のアップグレードが遅れていることと、中国でのファーウェイとの競争が原因です。
「しかし、アップルは魅力的な割引を提供した618ショッピング・フェスティバル(中国の小売業者が開催)の間、中国での売上が改善した。下半期には、アップル・インテリジェンスを搭載した新型iPhoneがアップグレード需要を牽引すると予想される」とカウンターポイント・リサーチのアナリストはレポートに書いています。
まとめ
アップルは、生成AIの分野でリーダーシップを発揮し、iPhoneのような成功を再現するチャンスがあります。ループ・キャピタルの目標株価引き上げも、この期待を反映しています。今後の展開に注目が集まる中、アップルがAI戦略をどのように進めるかが鍵となります。
*過去記事はこちら アップル AAPL