スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)は、AIブームを背景に驚異的な成長を遂げた企業として注目を浴びています。しかし、野村證券のアナリスト、ドニー・テン氏の最新のレポートによれば、その勢いも終わりを告げようとしています。本記事では、スーパーマイクロの株価予測や市場動向について詳しく解説します。
目標株価を据え置き、格下げ
野村證券のアナリスト、ドニー・テン氏は、スーパーマイクロの目標株価を930ドルに据え置いたものの、格付けを「買い」から「中立」に格下げしました。7月10日の午前の取引で、スーパーマイクロの株価は一時1.2%安の884.85ドルとなりました。テン氏は、液冷ソリューションにおける優位性がAIサーバーの受注不安によって部分的に影を落とす可能性があると指摘しています。
AIブームの立役者としての役割
スーパーマイクロの株価は今年に入って3倍以上上昇しました。この成長の背景には、エヌビディア(NVDA)のサーバーにハードウェアを提供するという同社の重要な役割があります。エヌビディアのグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)は、AI技術の進化に不可欠な要素であり、スーパーマイクロのハードウェア供給は大きな需要を生み出してきました。
今後の見通しと不確実性
しかし、エヌビディアのHopperチップから次世代Blackwellへの移行に伴い、スーパーマイクロの受注には不確実性が生じています。テン氏は、この移行が短期的にはスーパーマイクロの強さを一時的に弱める可能性があると述べています。今年初めの第3四半期決算後、同社を取り巻く環境が厳しくなる兆しが見え、株価は一時下落しましたが、現在は一部の損失を取り戻しています。
液冷ソリューションと市場の競争力
スーパーマイクロの液冷ソリューションは競合他社に対して優位性を持ち、売上総利益率(GPM)を支える重要な要素です。しかし、上記のような不確定要素により受注が限定的であるため、予想以上の売上を達成することは難しいと見られています。テン氏は、今後のスーパーマイクロの業績は不安定になる可能性があると述べています。
まとめ
スーパーマイクロは、AIブームの立役者として注目を集めてきましたが、現在は成長の勢いに陰りが見え始めています。野村證券のアナリスト、ドニー・テン氏のレポートによれば、短期的・中期的な見通しには不確実性が伴い、株価の動向には注意が必要です。スーパーマイクロの今後の展開に注目しつつ、投資判断を行うことが重要です。
*過去記事はこちら スーパー・マイクロ・コンピュータ SMCI