エヌビディア(NVDA)の株価は急上昇を続けており、同社はAI半導体分野での地位を一層強固なものにしています。モルガン・スタンレーのアナリスト、ジョセフ・ムーア氏は、この状況について楽観的な見解を示しつつも、慎重な姿勢を保っています。
目標株価の引き上げと微妙な状況
ムーア氏は、エヌビディアの目標株価を116ドルから144ドルに引き上げました。これは6月28日の終値から17%の上昇を意味しますが、このところ、ウォール街のアナリストが出している目標株価が150ドルを超えているのと比較すると慎重です。
ムーア氏は、「前回の決算報告以来の急激な上昇を考えると、この水準でテーブルを叩くつもりはない」と述べています。しかし、「これはAI半導体分野で最も魅力的な物語であり、H100からH200、そしてBlackwellへと移行するにつれて、視界とバックログは大幅に改善するだろう」と続けています。
エヌビディアの現在の評価額と課題
ムーア氏によれば、エヌビディアは5月下旬の決算報告以来、時価総額が約7000億ドルも膨れ上がり、現在「より高いハードル」に直面しています。この急激な評価額の上昇により、同社は新たな挑戦に直面しています。
ポジティブなデータと短期的な自信
ムーア氏は「台湾出張と中国出張の両方から得られた肯定的なデータポイントにより、短期的な業績に自信を持てる」と書いています。さらに、「下半期の需要と生産の急増は、Blackwell発売前の一時的な停滞に対する懸念を完全に払拭させるため、好調な勢いは維持される」との見方を示しています。
Blackwellチップと今後の展望
エヌビディアの新しいBlackwellチップは今年後半に出荷が開始される予定です。ムーア氏は、「Hopperサイクルの最後尾にあり、熱気と見通しが以前より低下している」ことを認識しつつも、「Hopperに対する需要サイドの兆候は依然として堅調」と述べています。
投資家へのメッセージ
ムーア氏は、Blackwellに対する顧客の熱意が引き続き強く、「推論性能の大幅な向上が顧客の関心を後押ししている」と強調しています。ただし、Blackwellの供給開始には課題が伴い、今年の10月期に出荷が開始される可能性があるものの、来年前半までは旧製品がエヌビディアの売上の大部分を占めると予想されています。
まとめ
エヌビディアの株価は急上昇を続けており、同社のAI半導体分野でのリーダーシップは依然として強力です。新しいBlackwellチップの出荷が予定されている中、投資家は慎重な姿勢を保ちながらも、同社の将来に対して楽観的な見方を維持しています。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA