ロイター通信によると、フランスの反トラスト法執行機関は、グラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)メーカーのエヌビディア(NVDA)を非競争的行為の疑いで告発する準備を進めているそうです。この措置は、昨年行われたエヌビディアのオフィスへの家宅捜索に続くもので、フランスが世界初となる動きです。
エヌビディアの影響力と規制当局の注目
エヌビディアは、人工知能(AI)ブームの最大の受益者として、規制当局の注目を集めています。同社のチップは、AIモデルの開発に必要な大量の情報を処理する能力でデータセンター事業者に重宝されています。これにより、同社の株価は今年に入り2倍以上に上昇し、時価総額は3兆ドルを超えています。
フランスの反トラスト法機関の調査
フランスの反トラスト法執行官は、昨年9月に「グラフィックカード分野における反競争的行為」に関与した疑いのある企業のオフィスを家宅捜索しました。この際、エヌビディアが対象企業であることは明らかにされませんでしたが、その後、同社はフランスや他の団体が同社のビジネス慣行を調査していることを認めています。
世界的な規制当局の関与
フランスの他にも、米国、欧州連合(EU)、中国、英国の当局がエヌビディアの事業を精査しています。欧州委員会は、エヌビディアが独占禁止法に抵触する可能性について非公式に意見を集めていますが、正式な調査にはまだ着手していません。
フランス独占禁止法の罰金
フランスの独占禁止法に違反した場合の罰金は、企業の世界的な年間売上高の10%に達する可能性があります。2020年には、アップル社に対して11億ユーロの罰金が科されました。
フランス財務相のコメント
フランスのブリュノ・ル・メール財務相は、エヌビディアの独占が各国間の「不平等の拡大」を引き起こし、公正な競争を阻害していると述べました。同大臣によれば、GPUの92%がエヌビディア製だとのこと。「公正な競争を望むのであれば、多くの民間企業が必要であり、一企業がすべてのデバイスを販売する可能性はない」とル・メール大臣は強調しました。
まとめ
フランスの反トラスト法機関がエヌビディアに対する告発を準備しているというニュースは、同社のビジネス慣行と市場における影響力に対する規制当局の関心を反映しています。エヌビディアは、AI市場におけるリーダーとしての地位を維持しつつ、公正な競争を推進するために、これからも規制当局との協力を続ける必要があります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA