アップル(AAPL)はChatGPTの開発企業OpenAIとの提携を発表し、人工知能(AI)戦略を本格的に開始しました。iPhoneメーカーであるアップルは、今や自社のデバイスにおけるAIプロバイダー間の競争を促進しようとしています。
アップルのAI戦略と提携の背景
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、アップルはメタ・プラットフォームズ(META)やAI新興企業であるAnthropic、Perplexityと協議を行い、これらの企業の技術をアップルの「Apple Intelligence」プラットフォームに導入する可能性について検討しています。この動きは、アップルがAIに関してマイクロソフト(MSFT)が支援するOpenAIやアルファベット(GOOGL)のGoogleに過度に依存することを避けるためのものです。
現在、GoogleはiPhoneとインターネットブラウザ「Safari」のデフォルト検索エンジンとなるために、アップルに年間数十億ドルを支払っています。しかし、アップルはAIに関して同様のモデルを提案していません。代わりに、アップルはAI企業が自社サービスのプレミアムサブスクリプションを販売できるようにし、アップルは自社のデバイスを通じて発生する売上の一部を確保することを示唆しています。
収益モデルの変革とその影響
これは、アップルが収益性の高いApp StoreをAIが破壊するという懸念を食い止めるのに役立つと考えられます。ウェドブッシュのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は「今後6~12ヶ月の間に、デベロッパーは何百もの生成AIアプリを開発し、アップルの成功のレシピの重要な材料となるだろう」と述べています。
同氏はアップルに対して「アウトパフォーム」の格付けと275ドルの目標株価を設定しています。この評価は、アップルのAI戦略が同社の株価に対してポジティブな影響を与える可能性が高いことを示唆しています。
法的課題とEUのデジタル市場法
一方で、アップルはAIのエコシステムを拡大しようとしている中で、既存のビジネスが十分にオープンではないという疑惑に直面しています。欧州連合(EU)は、アップルのApp Storeが開発者に顧客へ別の購入方法を自由に指示することを認めていないとして、新しいデジタル競争法(DMA)を遵守していないと主張しています。
この告発は6月24日に発表され、今年初めに施行されたEUのデジタル市場法に基づいて出された最初のものです。EUの規制当局が最終的にアップルがDMAの規則を破ったと判断した場合、アップルは全世界の売上の10%もの罰金を科される可能性があります。
アップルの今後の展望
アップルはここ数ヶ月でDMAを遵守するために変更を加えており、その計画は法律を遵守していると確信しています。しかし、これらの法的課題はアップルのAI戦略と市場展開に対して潜在的なリスクを伴う可能性があります。
アップルのAI戦略と提携は、同社の技術革新と市場競争力を高める重要なステップです。同時に、法的規制と市場の変化に対する柔軟な対応が求められています。これからの動向に注目が集まります。
*過去記事はこちら アップル AAPL