今年、S&P500種指数は既に15%近く急騰しており、さらなる上昇が期待されています。キャピタル・エコノミクスのシニア・マーケット・エコノミスト、トーマス・マシューズ氏は、S&P500の年末目標を5500から6000に引き上げました。これは6月21日の終値を9.8%上回る水準であり、2025年末には7000に達する可能性も示唆しています。
S&P500のさらなる上昇の理由
マシューズ氏はS&P500が減速する理由は見当たらないとしています。同氏の強気な予測は以前から知られていましたが、今回の上昇はその予想を上回るものでした。昨年6月に設定された今年末の目標値5500は、当時のS&P500種株価指数(SPX)の約25%上でしたが、現在ではその差は1%にも満たない状態です。
業績予想とAIの影響
投資家が高い株価を支払う理由は、業績予想の向上によるものです。S&P500種株価指数は21日の終値までに15%上昇しましたが、株価収益率(PER)は年初の20倍以下から21倍程度までしか上昇していません。これはバブル崩壊を示唆するほどの伸びではありません。
超過収益利回り(S&P500の先取り利益利回りと長期実質利回りのギャップ)はまだバリュエーションが上昇する可能性があるとマシューズ氏は述べています。利益に対する期待の一部は楽観的すぎるかもしれませんが、実際に利益が増加しているため、より明るい予測はファンダメンタルズを下支えしています。
AI革命の影響
マシューズ氏は、AIの効果が継続しているため、EPS(1株当たり利益)の期待が後退する理由はないと述べています。キャピタル・エコノミクスは以前から、ビッグテックとAI革命への熱狂は企業の収益拡大と潤沢なキャッシュフローを考慮すれば妥当だと指摘してきました。
ドットコム・バブルの際には、米国株のアウトパフォームは市場のピークを迎える約1年前に終わりましたが、マシューズ氏は、AIがいかに米国中心であるかを考えると、そのような動きが再び起こるとは考えていません。「AIバブルが市場上昇の原動力である限り、その上昇幅は米国で最も大きくなる」との見方を示しています。
他の専門家の見解
多くの専門家も同様の結論に達しています。米国みずほ証券は、市場の集中、ソフトウェア株の出遅れ、価格高騰に関する懸念について、「このAI列車が減速しているようには感じられない」と指摘しています。
一方、UBSの米州担当チーフ・インベストメント・オフィサーであるソリタ・マーセリ氏は、「過剰投資への懸念から、今年後半には調整が入る可能性がある」としつつも、「AIは歴史上最大の投資機会のひとつになる可能性が高い。投資家はポートフォリオを『AI対応』にする必要がある」と強調しています。
まとめ
AI革命がもたらす恩恵とその影響力は、S&P500種指数の上昇を支えています。キャピタル・エコノミクスのトーマス・マシューズ氏が示すように、AIの影響力はまだ始まったばかりであり、その成長は続くと見られています。今後の市場動向を注視しつつ、AI関連銘柄への投資戦略を再考することが求められます。