ドットコムバブル再来?エヌビディアの急騰と投資家が知るべきリスク

人工知能(AI)革命の中心に位置するエヌビディア(NVDA)は、わずか3ヶ月で時価総額が以前の2兆ドルから3兆ドルを突破しました。現在、エヌビディアの株価は下落傾向にありますが、それでも先週末の終値で3兆1000億ドル強の価値を持つに至っています。この評価はアップルを僅か2%下回るだけであり、エヌビディアの12ヶ月後フリーキャッシュフローの2.5倍以上を誇るアップルと比較すると、割安感はありません。

エヌビディアの株価は今後4四半期の予想利益の45倍近くに達しており、これは過去5年間の平均倍率を11%上回る数値です。3月に2兆ドルを超えた時点からも約35%の上昇を見せています。この急激な上昇は、AI分野でのリーダーシップを背景にしていますが、投資家はその持続可能性について慎重な視点を持つべきと思われます。

ドットコムバブルとの比較

エヌビディアの急騰は、1990年代後半のドットコムバブルを思い起こさせます。当時、インターネットの普及を支えるハードウェア企業が高く評価され、シスコシステムズ(CSCO)はその代表例でした。しかし、シスコは株価が急落し、分割調整後でその水準を約40%下回る結果となりました。

エヌビディアとシスコの違いは、エヌビディアが現在の売上高と利益率で圧倒的な成長を遂げている点です。ファクトセットのデータによれば、エヌビディアの12ヶ月累計売上高は前年同期比で3倍以上、営業利益率は60%と、過去のシスコとは異なる健全な財務状態にあります。

エヌビディアの持続的成長の要因

エヌビディアの持続的な成長には、大規模なクラウドコンピューティング企業との強固な関係が寄与しています。マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)などのハイテク大手は、エヌビディアのデータセンター売上高の40%以上を占めており、来年もさらに予算を投じる計画を示しています。

BofA証券のアナリスト、ビベック・アリヤ氏は、「生成AIの展開は資金力のあるクラウド顧客同士のミッションクリティカルな競争である」と述べ、ドットコムバブルとは異なる現状を強調しています。また、エヌビディアはAIシステムの基盤が拡大するにつれて、ソフトウェアの売上も増加する見込みです。

投資家への注意喚起

エヌビディアの現在の株価は決して安全とは言えません。最新の決算発表以来、個人投資家が大量に流入し、バンダ・リサーチによると、決算後の1日平均の個人投資家の資金流入額は1億4100万ドル近くに達しています。この流入は、株価の短期的な変動を引き起こす可能性があります。

まとめ

エヌビディアの成長と評価は驚異的であり、その将来性には大きな期待が寄せられています。しかし、過去のドットコムバブルと同様に、株価の急激な上昇にはリスクが伴います。投資家は冷静な視点を持ち、長期的な視野でエヌビディアの価値を評価することが重要です。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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