クアルコム(QCOM)は、2024年に入ってからの株価上昇が顕著であり、CFRAの格上げによってウォール街の注目を再び集めています。この記事では、クアルコムの現在の状況と今後の見通しについて詳しく解説します。
株価の絶好調:AI統合とPC市場進出の期待
2024年に入ってから、クアルコムの株価は57%も上昇し、現在227ドルとなっています。低迷していたスマートフォン市場の懸念が、モバイル機器へのAIの統合やPC用プロセッサー市場への進出による楽観的な見通しへと変わりました。
CFRAのアナリスト、アンジェロ・ジーノ氏は、クアルコムの格付けを「ホールド」から「買い」に、目標株価を200ドルから260ドルに引き上げました。この目標株価は、2025年の利益予測に基づく株価収益倍率(P/Eレシオ)約22倍に設定されています。
デバイス・レベルへのAIシフトでの恩恵
ジーノ氏は、クアルコムが今後12ヶ月間でAIがデバイス・レベルへとシフトする過程で大きな恩恵を受けると予想しています。同社はAI対応スマートフォンの分野でリーダーシップを発揮しており、サムスンのフラッグシップモデル「S24 Ultra」や、中国メーカーのプレミアム端末に搭載されるチップを提供しています。
また、クアルコムはアップル(AAPL)向けにiPhoneのモデムチップも供給しており、次期iPhoneの販売台数が増加すれば、同社にもプラスの影響を与えそうです。
PC市場でのクアルコムの新たな挑戦
クアルコムは、インテル(INTC)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)に対抗し、PC向けの新しいAI対応プロセッサーを発表しました。この取り組みは、マイクロソフト(MSFT)が先月発表したAIソフトウェアを実行するための新しいタブレットとラップトップにクアルコムのSnapdragonチップが搭載されたことにより、一層の弾みをつけています。
しかし、クアルコムのPC事業拡大には、アーム・ホールディングス(ARM)との法廷闘争という障害があります。この争いは、クアルコムが2021年に買収したチップ企業ヌビアのチップ設計に関するものです。クアルコムはアーム技術のライセンスが既にPCチップをカバーしていると主張していますが、アームはその譲渡を承認していないとしています。
まとめ
クアルコムは、AIブームとPC市場への進出により、今後も成長が期待される企業です。CFRAの目標株価引き上げや、AI対応スマートフォンの普及、PC市場での新たな挑戦など、同社の将来性には大いに期待が持てます。投資家にとって、クアルコムは注目すべき銘柄であることは間違いありません。
*過去記事「スマートフォン市場の未来:AIがもたらす新たな可能性」