エッジAIが導く未来:アームとマイクロンが拓く新時代の株式投資

  • 2024年6月18日
  • 2024年6月18日
  • BS余話

少なくとも半年以上前から、AIコンピューティングをクラウドからネットワークのエッジへと推進する動きが顕著になっています。このトレンドはさまざまな要因に起因していますが、主な理由は、AIタスクをクラウドで処理するよりも、AI対応PCやスマートフォンのエッジで処理する方がはるかにコスト効率が良いことです。さらに、エッジでのAIコンピューティングは、クラウドモデルに依存するよりも高速で、よりパーソナライズされ、よりプライベートで、よりエネルギー効率が高いと支持者は述べています。

AI対応デバイスの台頭

デル・テクノロジーズ、HP、レノボなどの主要ハードウェア企業は、AI対応PCの展開を始めています。アップルの最近のAI戦略には、iPhone、iPad、Mac上で一部のAIワークロードを実行することが含まれています。サムスンも、Galaxyスマートフォンラインの最初のAI中心バージョンを発表しています。

半導体業界への影響

BofAグローバルリサーチの半導体アナリスト、Vivek Arya氏は、最近、エッジAIのトレンドが半導体業界に与える影響について考察しました。同氏によれば、このシフトの明確な受益者は、プロセッシングとメモリの2つです。

このシフトはまだ始まったばかりであり、現時点ではPCや携帯電話向けの「マストハブAIアプリ」は存在しないとArya氏は指摘しています。しかし、ハードウェアメーカーがAIへの消費者の関心を喚起し、デバイスのアップデートを促進しようとしていることは明らかです。

主要な受益者:アームとマイクロン

この仮説に基づき、Arya氏はアーム・ホールディングス(ARM)マイクロン・テクノロジー(MU)の両社に対する買い推奨を繰り返しました。同氏はアームの目標株価を150ドルから180ドルに、マイクロンの目標株価を144ドルから170ドルに引き上げました。アームの6月17日の終値は160.29ドル、マイクロンの終値は147.83ドルです。

マイクロソフトのAI PCのビジョン

Arya氏は、マイクロソフトのAI PCのビジョンでは、ハードウェアが1秒間に40兆回の演算(TOPS)を処理できる必要があると指摘しています。同氏の予測では、そのような能力を持つPCの市場シェアは、今年の3%から来年には9%、2026年には26%になると見ています。2028年までには、販売されるPCの半数以上がそのような処理能力を持つようになると予想されています。

スマートフォンにおけるAIの進展

スマートフォンについても同様の傾向があります。Arya氏は、アップルの新しいAI機能(Apple Intelligence)は、iPhone 15 ProおよびPro Maxモデルでのみサポートされており、これはインストールベースの約5%に過ぎないと指摘しています。

AI対応PC用の主要プロセッサー

現行のPC用プロセッサーで40TOPS以上の処理能力を持つのは、クアルコム(QCOM)のSnapdragon X Elite、インテル(INTC)のLunar Lake、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のStrix Pointなどです。クアルコムのチップはアームの設計に基づいていますが、インテルとAMDは従来のx86アーキテクチャのバリエーションを使用しています。

アームの戦略的優位性

Arya氏は、アームが2つの重要な要因から恩恵を受けると見ています。それは、ライセンシーが前世代よりもロイヤリティ率の高い最新バージョンのプロセッサ設計に切り替えることと、アームベースのPCプロセッサがインテルやAMDに対して市場シェアを拡大すると予想されることです。

AIデバイスにおけるDRAMの役割

Arya氏はまた、AI PCやスマートフォンは旧来のデバイスよりも多くのDRAMを必要としていると指摘しています。マイクロンはこのトレンドの恩恵を受けるだけでなく、クラウドプロバイダーからのメモリ需要の高まりからも利益を得ることができます。特に、AIデータセンターで使用される高帯域幅メモリ(HBM)の需要が高まっています。

まとめ

AIコンピューティングのクラウドからエッジへの移行は、半導体業界を再構築し、プロセッシングとメモリの分野に大きな影響を与えています。アーム・ホールディングスやマイクロン・テクノロジーなどの企業は、この変化から大きな利益を得る可能性があり、AI対応ハードウェアの需要の高まりに伴い、その重要性はますます増しています。

*過去記事 アーム マイクロン

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