近年、人工知能(AI)技術の進化が加速する中、ブロードコム(AVGO)はその恩恵を受ける企業として再び注目を集めています。ウォール街のアナリストたちは、今年もブロードコムがAI分野でのサプライズを提供する可能性があると予測しています。
第2四半期決算と株価の動向
ブロードコムは6月12日に第2四半期決算を発表し、その後株価は12.3%上昇して過去最高値の1678.99ドルで13日の取引を終えました。この上昇は、2020年3月19日以来の最高値更新となりました。第1四半期報告後の失速を経て、再び力強い成長を見せています。
AI関連の収益見通し
ブロードコムは、AI関連の出荷額を従来の100億ドルから少なくとも110億ドルに引き上げると予測しています。同社は、アルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)向けにカスタムチップを設計し、ネットワークチップも提供しています。しかし、多くのアナリストは、まだ潜在的な利益を過小評価している可能性があると指摘しています。
アナリストの見解
J.P.モルガンのアナリスト、ハーラン・スール氏は、AI関連の売上の見通しについて「下期(後半)の成長が横ばいであることを示唆しており、依然として保守的である」と述べています。また、スール氏はブロードコムが年間配当を少なくとも1株当たり23ドル(前年比10%増)に引き上げる可能性があると指摘しています。
同氏はブロードコムの目標株価を1,700ドルから2,000ドルに引き上げ、「オーバーウェイト」の格付けを維持し、半導体セクターのトップピックであることを改めて強調しました。
メリウス・リサーチのベン・ライツェス氏も、ブロードコムのAI関連売上が今年120億ドルに達すると予想しており、2026年には200億ドルの売上を見込んでいます。同氏は株価の目標値を1850ドルから2050ドルに引き上げ、「買い」の格付けを維持しました。
その他の事業展開と統合の進捗
ブロードコムは、ワイヤレスチップ事業の横ばい成長やiPhoneの出荷台数減による影響を受けつつも、ストレージ、ブロードバンド、産業用チップの売上急減にも対応しています。しかし、昨年800億ドル以上で買収したVMwareとの統合は順調に進んでいると報告しています。
米国みずほ証券のアナリスト、ビジャイ・ラケッシュ氏は、「ブロードコムは複数のセグメントにおける強力な市場地位、営業レバレッジ、利益率を高める買収を通じて、引き続き価値を引き出していく」と述べ、目標株価を1625ドルから1900ドルに引き上げ、「買い」の格付けを維持しました。
まとめ
ブロードコムは、AI技術ブームの中でその恩恵を享受し、引き続き成長が期待される企業です。ウォール街のアナリストたちからも高い評価を受けており、今後の動向に注目です。
*過去記事「ブロードコム株価急上昇:好調な決算と株式分割の発表」