クリエイティブ・マーケティング・ソフトウェア会社のアドビ(ADBE)は、最新四半期の決算発表で予想を上回る成果を報告し、さらに11月末までの会計年度のガイダンスを上方修正しました。このニュースを受けて、アドビの株価は6月13日の市場終了後の時間外取引で17%も急上昇しました。
売上高と業績の詳細
アドビの最新四半期の売上高は53億1000万ドルで、前年同期比10%増となりました。この数字は、同社のガイダンス範囲である52億5000万ドル〜53億ドルをわずかに上回り、ファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想52億9000万ドルをも超える結果となりました。
また、調整後の利益は1株当たり4.48ドルで、アドビの予想である1株当たり4.35ドル〜4.40ドルと、コンセンサス予想の1株当たり4.39ドルを上回りました。一般に公正妥当と認められた会計基準(GAAP)では、アドビは1株当たり3.49ドルの利益を得ています。
AI技術の活用と成長
アドビのシャンタヌ・ナラエンCEOは、「当社は、すべての顧客セグメントでAIソリューションの強力な利用、価値、需要を促進しており、デジタルメディア事業とデジタルエクスペリエンス事業で新しいAI技術の収益化に早くから成功している」と述べています。
新規デジタルメディアの年換算売上高(ARR)は4億8700万ドルで、会社予想の4億4000万ドルを大きく上回りました。デジタルメディアのARR総額は162億5,000万ドルに達しました。
セクター別の業績
デジタルエクスペリエンス部門の売上高は13.3億ドルで、アドビのガイダンス範囲である13.1億ドル〜13.3億ドルの上限に達しました。また、デジタルメディア部門の売上は39.1億ドルで、会社予想の38.7億ドル〜39億ドル、コンセンサス予想の38.9億ドルを上回りました。
今後の見通し
アドビは8月期の売上高を53.3億ドル〜53.8億ドルと予想しており、そのうちデジタルメディア部門の新規ARRは4.6億ドルとしています。デジタルメディア部門の売上高は39.5億ドル〜39.8億ドル、デジタルエクスペリエンス部門の売上高は13.25億ドル〜13.45億ドルを見込んでいます。さらに、アドビは1株当たり4.50ドル〜4.55ドルの調整後利益を見込んでいます。
アナリストのコンセンサス予想では、8月期の売上高は54億ドル、デジタルメディアの新規ARRは4億5,850万ドル、デジタルメディアの売上高は39億9,000万ドル、デジタルエクスペリエンスの売上高は13億4,000万ドル、調整後の利益は1株当たり4.47ドルとされていました。
通期見通し
通期については、売上高が214億ドル〜215億ドルとなり、前回予想の213億ドル〜215億ドルを上方修正されました。また、通期のデジタルメディアARRは19億5,000万ドルで、前回の19億ドルから増加すると予測しています。
さらに、通期の調整後利益は1株当たり18ドル〜18.20ドルとなり、前回予想の1株当たり17.60ドル〜18ドルから引き上げられました。
AI関連銘柄への期待
アドビの好調な決算は、今週相次いで明らかになっているAI関連銘柄の一連の動きに連なるもので、AIに対する強気なセンチメントをさらに強めることになりそうです。10日にはアップル(AAPL)が新しいAI戦略「アップル・インテリジェンス」を発表したことで、その後株価が大きく上昇しました。続いて、オラクル(ORCL)とブロードコム(AVGO)も四半期決算を発表しAI関連の明るい見落としを示したことで株価が高騰しています。アドビの最新の報告により、AI技術の強力な利用と収益化に対する市場の期待はさらに高まり、AI関連銘柄への投資が引き続き注目されるものと思われます。