6月10日のワールドワイド・デベロッパーズ・カンファレンス(WWDC)で、アップル(AAPL)は待望のAI戦略「Apple Intelligence」を発表しました。この新しい戦略は、特にiPhone 15 ProとPro Maxに焦点を当てており、同社の最新スマートフォンにのみ搭載される予定です。
Apple Intelligenceの概要
Apple Intelligenceは、メールやメッセンジャー、メモなどのアップルのアプリケーション全体に新しいAI機能を追加します。これには、テキストを要約したり、電子メールの返信を提案したり、通話を書き起こしたりするテキストベースのツールが含まれます。また、画像生成ツールも提供されており、アドビやメタと競合しますが、アップル独自のアプリケーションとの統合に重点を置いています。
iPhone 15 ProとPro Maxに限定
Apple Intelligenceは、現在のiPhoneのインストールベースのわずか5%に過ぎないiPhone 15 ProとPro Maxにのみ搭載されます。これは、AI機能のためのシリコン要件を反映したもので、既存の顧客が高価な新機種を購入するきっかけとなるか注目されます。
新しいSiriとクラウドベースのサービス
アップルは、iPhone、iPad、Macに搭載されるAIを強化した新しいSiriの計画も発表しました。さらに、クラウドベースのサービス「Private Cloud Compute」を提供し、プライバシーに重点を置いたAI体験を提供します。
OpenAIとの提携
予想通り、アップルはOpenAIとの提携を発表し、ChatGPTをアップルのデバイスで利用できるようにしました。これにより、アップルデバイス上でのAI機能がさらに強化されます。
その他の注目すべき発表
- iOS 18: 写真の整理ツールの改善、アプリのロック機能、ホーム画面のレイアウトの自由度向上、新しいメッセージングツールの追加。
- iPad OS: 新しいMath Notesアプリの追加、メモアプリのリフレッシュ。
- Mac OS “Sequoia”: iPhoneミラーリング機能の追加。
- AirPodsのアップデート: 頭の動きで電話に応答可能。
株式市場の反応
発表後、アップルの株価は12日に7.3%上昇し、過去最高の207.15ドルとなりました。これは、投資家がアップルの新しいAI戦略に対する楽観的な見方を示した結果です。
アップルの未来に対する期待
エバコア ISIのアナリスト、アミット・ダリヤナニ氏は、「Apple Intelligenceを過去1年以内に販売されたiPhoneに限定することで、AIがiPhoneのスーパーサイクルの幕開けに役立つという確信が深まった」と述べています。ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏も「アップルにとって歴史的な日」とし、同社の新しいAI戦略を高く評価しています。
まとめ
アップルの新しいAI戦略「Apple Intelligence」は、同社のデバイスとアプリケーションに革新的な機能をもたらし、顧客体験を向上させます。投資家とユーザーの期待を裏切らないために、アップルは引き続きAI技術の進化を追求していくものと思われます。
*過去記事はこちら アップル AAPL