AIチップ市場はエヌビディア(NVDA)が8割とも9割とも言われるシェアを占める独占状態。その差を 懸命に埋めようとしているのが、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とインテル(INTC)の2社という構図になっています。メリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は6月7日、AMDには好転の可能性がある一方、インテルにはチャンスは少ないとの見立てを明らかにしました。
AMDに追い風?
ライツェス氏は、先週AMDと面談を行ったそうで、第2四半期以降に「キャッチアップトレード」の恩恵を受ける可能性があると述べています。マイクロソフト(MSFT)がAMDのAIチップの総所有コスト(電力や冷却需要などの間接要因を含む)に関する利点を支持していることが、エヌビディアに対抗する強みとなるとしています。
さらに、2024年後半にはメタ・プラットフォームズ(META)からの注文増加が見込まれることや、PC向け新型AIプロセッサの強さもAMDにとってプラス要素となる可能性があるとライツェス氏は述べています。
ライツェス氏はAMD株の格付けを「買い」とし、目標株価を210ドルとしています。6月7日のAMDの終値は167.87ドルとなっています。
エヌビディアとAMDへの投資判断
ライツェス氏はエヌビディアとAMDの両方に「買い」評価を付けていますが、エヌビディア株の目標株価1,250ドルは7日の終値から3%の上昇を示唆しているのに対し、AMD株の目標株価は25%の上昇を示唆しています。
インテルの課題と展望
一方、インテルに関しては、同社の大規模なチップ製造能力への投資計画が株価の見通しを曇らせているとライツェス氏は指摘しています。
「インテルのファウンドリ戦略は平均的な投資家にとって複雑すぎます。AIの話題性があり、資本集約度の低いエヌビディアやAMDを購入する方が簡単です」とライツェス氏は述べています。
インテルは現在、AIチップの成功を証明するのではなく、PCおよびサーバー市場の回復から利益を得ることが重要であるとライツェス氏は指摘しています。
まとめ
このように、AIチップ市場における競争は激化していますが、AMDには好材料が揃っており、今後の成長が期待されています。エヌビディアは引き続き強い地位を保っていますが、AMDの追い上げにも注目です。一方、インテルは新たな戦略の成功を証明する必要があります。
*過去記事はこちら AMD エヌビディアNVDA