ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は、AIサーバーの旺盛な需要に牽引され、予想を上回る4月期決算を6月4日に発表しました。決算発表後の時間外取引では15.3%高の20.29ドルで取引されています。同社はエヌビディア(NVDA)の供給条件が一部緩和された恩恵を受けていると述べています。エヌビディアのH100チップは、HPE、 デル・テクノロジーズ(DELL)、レノボ、スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)などのサーバーに使用されています。
予想を上回る売上高と利益
HPEの第2四半期の売上高は72億ドルで、前年同期比3%増、為替調整後では4%増となり、同社のガイダンス範囲である66億ドル〜70億ドルを上回りました。アナリストのコンセンサス予想である68億ドルも上回る結果となりました。調整後の利益は1株当たり42セントで、ガイダンス範囲である36セント〜41セントを超え、コンセンサス予想である39セントを上回りました。
サーバー部門とAIシステムの売上
HPEのサーバー部門の売上高は前年同期比18%増の39億ドルで、コンセンサス予想の34.6億ドルを大きく上回りました。AIシステムの売上高は前四半期比2倍以上の9億ドル超となり、AI市場における強力なプレゼンスを示しています。アントニオ・ネリ最高経営責任者(CEO)は、H100sの稼働率が最近の四半期よりもはるかに向上していると述べています。
AIシステムの受注状況
HPEは、2023会計年度に入ってからのAIシステムの累計受注額が、前四半期の40億ドルから46億ドルに増加したと報告しています。企業向けAIシステムの受注は同社の累計の15%以上を占めるようになっており、クラウド大手が購入するシステムよりも収益性が高い傾向にあります。
部門別売上
HPEのインテリジェント・エッジ部門の売上高は、ネットワーク・ハードウェアの高水準の顧客在庫を処理し続けたため、予想通り19%減の11億ドルとなりました。一方、ハイブリッドクラウド部門の売上高は13億ドルで8%減でしたが、コンセンサス予想を少し上回る12.3億ドルでした。金融サービス部門の売上は8億6700万ドルで1%増でした。
今後の見通し
HPEは、第3四半期の売上高を74億ドル〜78億ドル、調整後の利益を1株当たり43セント〜48セントと見込んでいます。2024年10月期の売上高は、恒常為替レートベースで1%〜3%の伸びを見込んでおり、以前のガイダンスである横ばい〜2%増の範囲を上回る見通しです。
マリー・マイヤーズ最高財務責任者(CFO)は、「AIシステムの受注転換の好調、慎重なコスト規律、予想を上回るフリーキャッシュフローが、第2四半期の非常に堅調な業績を牽引した」と述べています。フリーキャッシュフローは前年同期の3億2200万ドルから6億1000万ドルに増加しました。
まとめ
HPEは、AIサーバーの旺盛な需要とエヌビディアの供給条件の緩和により、予想を上回る4月期決算を発表しました。サーバー部門とAIシステムの売上は堅調で、今後も高い成長が期待されます。企業向けAIシステムの受注も増加しており、同社の収益性をさらに高める要因となっています。