セールスフォース(CRM)の株価が、5月30日の最新の四半期決算発表後、急落しました。この決算発表は市場にどのような影響を与えたのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
四半期決算のハイライト
2024年4月30日を締めた第1四半期の売上高は91億3000万ドルで、前年同期比11%増加しました。しかし、これは同社のガイダンス範囲である91億2000万ドル〜91億7000万ドルの下限近くとなり、ウォール街のコンセンサス予想である91億5000万ドルを下回りました。さらに、2024年7月期の売上高見込みは92億ドル〜92億5000万ドルで、ウォール街の予想である93億5000万ドルを下回る結果となりました。
株価の動向
セールスフォースの株価は決算発表後の時間外取引で16%安の228ドルとなり、年初来では11%の下落となりました。これにより、投資家は短期的な不安を感じています。
利益率とキャッシュフローの改善
セールスフォースの経営幹部は、4月期の利益率とキャッシュフローの改善を強調しました。フリーキャッシュフローは43%増の61億ドルとなり、非現金費用を除いた営業利益率は4.5ポイント増の32%となりました。株式報酬などの非現金費用を除いた4月期の利益は24億ドル、1株当たり2.44ドルとなり、ファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想である1株当たり2.37ドルを上回りました。
株主還元策
セールスフォースはこの四半期に22億ドル相当の株式を買い戻し、4億ドルの配当を支払いました。これにより、株主に対する還元を強化しています。
業績不振の原因
業績不振の原因として、経営陣が「現在の残存業績義務(cRPO)」と呼ぶ指標が挙げられます。セールスフォースは4月期のcRPO成長率を12%と予想していましたが、実際の成長率は10%にとどまりました。この不足の一因は、厳しいマクロ経済環境とセールスフォースのマーケティング・リソースのシフトとされています。
アナリストの見解
決算発表を受けてアナリストが見解を発表しています。グッゲンハイムのアナリスト、ジョン・ディフッチ氏はcRPO指標を嫌い、セールスフォースの格付けを「中立」としています。オッペンハイマーのブライアン・シュワルツ氏は、ウォール街の予想は低かったものの、十分に低くなかったと指摘しています。シュワルツ氏は、企業向けソフトウェア会社の製品に対する需要がまちまちであると述べ、第1四半期が季節的に弱くなる傾向があることや、最近のドル高が決算に逆風となったことを警告しています。
最後に
セールスフォースの株価は現在低迷していますが、同社は引き続きフリーキャッシュフローと利益率の改善に努めています。投資家は、短期的な市場の反応に左右されず、長期的な視点での投資判断を行うことが重要です。
*過去記事 セールスフォース(CRM)