エヌビディア(NVDA)は6月7日の終値で株式を10分割することを発表しました。この発表は5月22日の第1四半期決算発表時に行われ、投資家は所有する1株につき10株を受け取ることになります。これにより、株価は現在の10分の1に下がり、分割後の株価は1株あたり約115ドルとなる見込みです。このニュースを受けて、エヌビディアの株価は22日以降約20%上昇しました。
株式分割のメリットとは?
株式分割の主な目的は、株価が高くなると一部の個人投資家が購入を控える可能性があるため、株価を引き下げて投資しやすくすることです。株価が下がることで、企業の市場評価も上昇し、社債価格も上昇します。これにより、企業が資金を借り入れる際の金利が低下し、評価額が上がれば、株式を買収のための通貨として使いやすくなります。
エヌビディア自体が資金調達を必要としているわけではありませんが、株式分割を実施することで会社や株価に損失が生じることはありません。実際、バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、ジャレッド・ウッダード氏によると、株式分割を行った企業の株価は、発表後1年で平均25%上昇する傾向があるそうです。
株式分割の背景と影響
エヌビディアの株価上昇の背景には、人工知能(AI)の普及によるデータセンター向けチップの需要が爆発的に伸び続けていることがあります。第1四半期の売上高はアナリストの予想を上回り、前年同期比で倍増しました。利益率と利益も予想を上回る結果となり、エヌビディアがAIを実現する世界の主要企業として台頭していることが反映されています。
エヌビディアの株価は、2022年10月の弱気相場の底値から10倍以上に上昇しており、今回の株式分割は好調な事業に対して投資家の評価が高く、同社株の購入意欲が強いことを反映しています。
今後の株式分割候補
バンク・オブ・アメリカは今後、株式分割が行われる可能性が高い候補として以下の8社を挙げています。※株価は5月29日終値
- NVR(NVR):7,335ドル
- ブッキング・ホールディングス(BKNG):3,734ドル
- チポトレ・メキシカン・グリル(CMG):3,073ドル
- オートゾーン(AZO):2,739ドル
- メトラー・トレド・インターナショナル(MTD):1,437ドル
- ブロードコム(AVGO):1,391ドル
- フェア・アイザック(FICO):1,356ドル
- トランスダイム・グループ(TDG):1,312ドル
また、以下の株価が500ドルを超えている企業も株式分割の候補とされています。
- ドミノ・ピザ(DPZ)
- ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)
- パーカー・ハニフィン(PH)
- サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TMO)
- ネットフリックス(NFLX)
- イーライ・リリー(LLY)
まとめ
エヌビディアの株式分割は、投資家にとって朗報となり、株価上昇の一因となっています。高価な株式が手頃な価格になることで、より多くの個人投資家がエヌビディア株にアクセスできるようになります。今後も他の大手企業が株式分割を発表する可能性が高く、投資家にとって注目のポイントになると思われます。エヌビディアをはじめとするこれらの企業の動向を見逃さず、適切な投資戦略を立てることが重要です。