メモリチップ製造のリーダーであるマイクロン・テクノロジー(MU)の株価は、過去1年半にわたり絶好調を続けています。このほど、長年、同株に対して懐疑的なアナリストがそのスタンスを変えて、注目が集まっています。
2021年3月以来、中立の立場を取っていたベアードのアナリスト、トリスタン・ゲラ氏は5月6日、その評価をアウトパフォーム(買い推奨)に引き上げたことが市場に大きな影響を与えています。この背景には、DRAMとDDR5メモリチップの価格が強いという市場の動向があります。
DRAM価格の上昇と市場の反応
ゲラ氏によると、DRAMの価格設定は、ハイパースケーラー企業が注文を増やしている影響を受けており、これがマイクロンの株価をさらに押し上げる要因となっています。実際、マイクロンの株価は今年に入ってから既に35%の上昇を見せており、同氏の予想では年内に150ドルに到達する可能性があります。マイクロン株の先週末の終値は115ドルであることから30%あまりの上昇余地があることになります。
メモリチップ市場の将来性
ゲラ氏は、「今後12〜18ヶ月間のメモリ市場は、これまでにない見通しを示している」と述べています。メモリチップの需要は、コンシューマー・エレクトロニクス、データセンター、自動車産業といった多岐にわたる産業での使用増加が見込まれています。
マイクロンの最新決算と来期の見込み
マイクロンが3月20日に発表した2月期の売上高は58億2000万ドルで、前年同期比58%増となり、会社予想の53億ドルを大きく上回りました。調整後ベースでは、1株当たり42セントのサプライズ利益を計上しています。一般に公正妥当と認められた会計基準では、1株当たり71セントの利益となります。非GAAPベースの売上総利益率は20%で、会社予想の13%を大きく上回りました。マイクロンは、同社の予想を四半期前倒しで黒字化したと述べています。
来期である5月期について、マイクロンは66億ドル(プラスマイナス2億ドル)の売上を見込んでおり、調整後の利益は1株あたり45セント(プラスマイナス7セント)を予想しています。ファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想では、売上高は59億8000万ドル、利益は1株あたり8セントとなっていました。
マイクロン株の投資価値
過去3年間でのマイクロンのトータルリターンは11%と、S&P 500の7%を上回っています。しかし、同期間における半導体業界全体のリターンは17%となっており、業界平均には若干遅れを取っています。これが、ゲラ氏が以前持っていた懐疑的な見方の根拠でしたが、現在の市場の動きと合わせて考えると、この見方は修正を迫られています。現在、ウォール街でマイクロンをフォローしているアナリストの10人中9人が、この銘柄に対して「買い」またはそれに相当する評価をしています。
*過去記事「マイクロン株が急騰!BofA証券の楽観的見解に注目」